90bfc198.jpgすでにAORファンの間では話題騒然となっているジェイ・グレイドン・オールスターズ初来日公演ライヴの作品化。現時点では、DVD+CD2枚組の初回限定盤、DVDのみの通常盤という2種が12月12日にリリースされることに決まっている。これに先駆け、カナザワは某誌レビュー用にひと足早く観ることできた。待ち詫びてるファンの皆さん、役得のカナザワを許して下され!

ただし、真っ先に断っておくべきことが。これはジェイ自身が収録インタビューの中で語っているように、あくまでオフィシャル・ブートレグである。ビデオ録りの目的はあくまで記録用で、定点からカメラ1台でシュートしたものだ。したがってカット割りなどまったく存在せず、ただズームなったり、アングルが左右に振られたりするだけ。なので最近の凝りに凝ったカメラワークに親しんでいる方にとっては、激しく物足りない映像作品だろう。おそらくカメラ自体も家庭用と思われ、アンコールでは総立ちになったオーディエンスの影に絵が遮られてしまったりする。音がサウンドボードからのライン音源なのが唯一の救いだ。

でもこうした難点は、あくまで客観的な映像作品としてのクオリティの話。AORファン、グレイドン・ファンならば、このライヴの中身の絶大な価値を分からぬはずがない。もちろんそれが映像作品として一般発売された意義の大きさも。

シンガーのみならず、ギタリスト/オルガン奏者としても重要な枠割りを果たしていたビル・チャンプリン。鍵盤に向かいながらもメンバーの中で一番踊ってたスティーヴ・ポーカロ。TOTOの時よりも声が出てたと思しきジョセフ・ウィリアムス。日本とのパイプ役を果たしたケンジ・サノ。圧巻の歌唱力で迫るシャーウッド・ボールに、若々しいビル・キャントス。堅実なサポートを見せる鍵盤のスペシャリスト:ジョン・ヴァン・タングレン。そして元Mr.ミスターのパット・マステロットは、思ったよりもはるかに柔軟なグルーヴを提供している。そして主人公のジェイは、MCでは人懐っこい表情を見せながらも、演奏に入ると少し神経質そうにフレットを探り、トリッキーなギター・プレイを披露していく。5キーボードや3ギターも可能な大編成で、レコードと遜色ないアンサンブルを構築していたのは、さすが完全主義者グレイドン。リハも綿密にやってたらしく、このメンツが顔を揃えてライヴをやるコトなど、きっとL.A.でも二度とないに違いない。まさに貴重な記録なのだ。

こうして映像を見ていると、その場に足を運んだ夜の興奮が今も熱く甦ってくる。それこそ映像のチープさなど、いつの間にか気にならなくなっていた。ま、とにもかくにもAORファンはマストでしょ!



【収録曲】
1. Criminal
2. Satisfaction
3. She Just Can't Make Up Her Mind
4. Holdin' On To Love
5. Walk The Wire
6. After The Love Has Gone
7. First And Last
8. Insincere
9. In The Heat Of The Night
10. Baby Bye Bye
11. Keyboard Solo ~Steve Porcaro~Bill Cantos~John Van Tongren
12. When You Look Into My Eyes
13. Roxanne
14. Nothin' You Can Do About It
15. Band Intro (DVD only)
16. Turn Your Love Around
17. Drum Solo~Bass Solo
18. Show Me The Magic
19. Pamela
20. Stranded