4466b96a.jpgベテラン・サックス奏者アーニー・ワッツが、クインシー・ジョーンズのレーベルQwestから出した第1作目『CHARIOTS OF FIRE』が初CD化されたのは、05年春のこと。その時にも ココで真っ先に紹介したけれど、それから3年近くが経って、Qwestでの2作目『MUSICAN』と3作目『SANCTUARY』、遡って72年のスティーヴィー・ワンダーのカヴァー集『THE WONDER BAG』が一気に再発された。

この『MUSICAN』については、『CHARIOTS OF FIRE』が国内盤仕様で出ることになってライナーを書いた時に、やはり コチラにアップしている。そう、ドン・グルーシンがプロデュースし、フィル・ペリーがAORチックな好曲<Music Prayer For Peace>を歌っているのだ。

アルバム全体の印象も、スカイ・ブルーの爽やかなジャケにふさわしく、クインシー・サウンドからGRP的なコンテンポラリー・フュージョン色が強まった。時代的にプログラミングが幅を利かせつつあるが、それでもリアル・ミュージシャンによる生演奏が中心なのも嬉しいところ。少なくとも、誰が演っても同じというスムース・ジャズみたいに安直なプロダクションにはなっていないと思う。

またリッチな余韻を残すインスト<Where The Spirit Lives>は、84年3月にオーヴァードースで急逝したトム・ヤンスに捧げたもの。ちょうどヤンスの代表作『THE EYES OF AN ONLY CHILD(子供の目)』と『DARK BLONDE』(75〜76年)が昨年紙ジャケ・リイシューされたが、彼の最終アルバム『CHAMPION』(82年)がドンのプロデュースで、アーニーも参加していたので、彼に曲を手向けることになったのだろう。

参加ミュージシャンは、リー・リトナー/ポール・ジャクソンJr.(g)、ラッセル・フェランテ(kyd)、ネイザン・イースト/エイブ・ラボリエル(b)、ジョン・ロビンソン/アレックス・アクーニャ/カルロス・ヴェガ(ds)、ポウリーニョ・ダ・コスタ(perc)、シーウインド・ホーンズ等など。AOR寄りのフュージョン作といえば、リトナー『RIT』、ランディ・グッドラムが歌っていたデイヴ・グルーシン『NIGHT-LINE』、ロベン・フォード『LOVE'S A HEARTACHE』などが代表的。さすがにそこまでイイとは言わないけれど、<Music Prayer For Peace>に関しては充分張り合えるクオリティ。なかなか好きなアルバムです。


(国内盤購入は大きいジャケをクリック!)