33b5a2c0.jpg来月には13年ぶりの新録アルバム『THOUGHTS』のリリース、そしてビルボード・ライヴでの来日公演と、再び上昇機運に乗ってきたデヴィッド・T・ウォーカー。その前哨戦とでも言うべきベスト・アルバムが、今月22日に発売される。そのサンプル盤が週末に届いていたので、今日は部屋いっぱいにそれを流しながら、甘美でメロウなトーンに包まれて………お仕事!

この『BEST OF BEST』は、1971〜1976とあるように、いわゆるオード期の3作品『DAVID T. WALKER』『PRESS ON』『ON LOVE』を対象にしたもの。選曲は不肖カナザワが担当し、デヴィッドT自身からのお墨付きも戴いている。

そもそもこの『BEST OF BEST』は、発売元であるビデオアーツさんの定番シリーズで、去年アン・サリーやジョー・サンプル、ジョン・トロペイ、マンハッタン・ジャズ・クインテットなどのベストをコンパイル。その時カナザワもジェナイを担当したが、今回はそれに次いでのモノとなる。ま、オード3作のオリジナル・リイシューに貢献できたから、これはそのご褒美と受け取るべきかな。

最初にお話を戴いた時点ではニュー・レコーディングの話など出てなかったが、いよいよ選曲という時期になると、ドリ・カムのバックアップで新譜の制作が進んでいることが判明。ならばこのベストも、ドリ・カム絡みでデヴィ爺を知ったけれど、まだオリジナル・アルバムは聴いたことがない、そういう人を視野に入れたモノにしようと骨子が固まった。だってほとんどデヴィ爺ファンは、とっくにオリジナル・リイシューをゲットしているはず。正直言って、どういう趣旨で選曲しようか、ちょっと決めあぐねていたのだ。

でも方針が決まれば、あとは比較的スンナリと。どうしたってハズせない定番曲、デヴィ爺自身がお気に入りと思われる曲はシッカリ押さえ、ファン・サイトを主宰するueさんにも確認していただいた。曲順としては、最初チョロチョロ、中パッパ…というか… 冒頭に馴染みやすい曲を集め、中盤に渋め目の曲、そして終盤にはコテコテの十八番、という構成。ヴォーカル曲がほとんどないので、その置き場所には気を使ったが、聴き流してみても違和感はない。手前味噌ながら、まずは一安心だ。オリジナルを聴き倒してきた方も、きっと違った角度で楽しんで戴けるモノになったと思う。何せデヴィ爺にとっては、キャリア初のベスト物だからして。それに深く関われたなんて、何と光栄なのだろう。

それにしても、デヴィ爺は不思議な強運の持ち主だ。オード3部作のリイシューは、結局アルファ・ムーンや江戸屋時代の諸作品のリイシューを促したし、2度のソロ来日公演とライヴDVDの発売という成果を生んだ。そしてまたこのベスト盤を契機に、待望の新作リイシュー、そして再来日と、再び物事がトントン拍子に動いていく。これでまたしばらく甘美な夢が見られそうだ。