3261c65d.jpgジャジーな新作『IF THE WORLD WAS YOU』を引っ提げた久々の来日公演初日@ビルボード東京2ndを観て来た。アサイラム時代のファンの間では「これが25年ぶりの新作でやることか?」と不評らしいニュー・アルバムだが、AORなスタンスのカナザワとしては、こうしたスタイルにソソられたからこそのカムバックだと思えるワケで…(一部ネタバレあり)

なので今回のライヴも、密かにジャズ・コンボなんか引き連れて来るのでは?と期待していた。そうしたアレンジに乗った<You're Only Lonely>を聴いてみたかった。が、ステージ上にはギターとピアノのみ。「あらら、やっぱし弾き語りなのね」と、少々落胆しつつ、ニュー・アルバムの1曲目<I'll Be Here At Closing Time>から淡々としたパフォーマンスが始まる。

かつては優男で鳴らしたJ.D.も、すっかり枯れた風情。グレー系でまとめた出で立ちも地味なモノだ。歌声やギターも少々ヨレ気味だったが、それでも彼らしい味わいが充分にあって、ジワンと惹き込まれる。古い曲を歌い始めると、オーディエンスが空かさず反応。曲間ではアチラコチラの中年ファンからリクエストが飛んだりもする。
「<Her Town Too>をやって」
「もうひとり、シンガーが必要だね」なんて。

ひと際沸いたのは、<How Long>とか<New Kids In Town>など、イーグルス絡みのナンバー。そして本編ラストで<You're Only Lonely>。でもコレはファン・サーヴィスの気持ちが強いのか、かなりアッサリした印象だった。逆にアンコールでの<Best Of My Love>のシットリした歌い口に、思わずトケそうに。赤坂の夜景が目に染みた。