Mtume_77早12月に突入。ウソだろ!? 今年最大の目標だった『AOR Light Mellow Premium』も、夏→秋→年内と延期を繰り返し、いまだ作業の途中。この半月ほどは、別の仕事ばかりでほとんど進捗していない。うー、ヤバイっす 一応10thアニヴァーサリーと謳っているので、6月以降になってしまうと11年目に突入しちゃうんだがなぁ… とはいえ、レギュラーの仕事もあるワケで。

さて、某誌レビューの絡んでピックアップしたのは、今月下旬にソニーから出る【Vintage in 70's】シリーズ第3弾の中から、エムトゥーメの78年作『KISS THIS WORLD GOODBYE』。

そもそもエムトゥーメは、マイルス・デイヴィスのグループに参加する前後から自分の活動を展開していて、ストラタ・イーストなどのマイナー・ジャズ・レーベルにアブストラクトなスピリチュアル・ジャズ作品を残している。その頃は"Umoja Ensemble"を率いていたので、エムトゥーメという名義はソロの扱いだった。しかし70年代後半になると、レジー・ルーカスを相棒にしてバンド・フォーマットを固め、タワサをヴォーカルに、後年D・トレインを育てることになるヒューバート・イーブスを鍵盤に据えて、ファンク路線に転向。おそらくアース・ウインド&ファイアーに感化されたのではないか? その第一弾がこのアルバムである。ジャケットがプリミティヴな感じでスピリチュアル・ジャズ時代を思い浮かべるが(エムトゥーメイはスワヒリ語らしい)、内容はそれなりに洗練されたファンキー・チューンが並べられ、如何にも78年作といった感じ。かつてCD化されていた『IN SERCH OF THE RAINBOW SEEKERS』(80年)の前哨戦と言えば、分かりやすいだろうか? 

振り返れば『KISS THIS WORLD GOODBYE』は、『...RAINBOW SEEKERS』と一緒に洋楽秘宝館のシリーズで出すべく、当時の担当A&R氏にリクエストしていたもの。それで「じゃあ、とりあえず一枚」と再発したのが『...RAINBOW SEEKERS』だったワケ。結局自分は関われなかったけれど、とにかく8年越しの大願成就(?)はメデタイ。

久々に聴き直して、ここに<The Closer I Get To You>の作者ヴァージョンが入っていたのを思い出した。もちろんダニー・ハサウェイ&ロバータ・フラックで大ヒット(全米2位/R&B1位)した超名バラード。これもまたエムトゥメイ=ルーカスの逸品であった。彼らがこの頃からプロデュース・チームとしてバリバリ売り出すのはご存知の通り。

そして2人が袂を分ったあと、あのエロエロな<Juicy Fruit>が飛び出すワケだが、媚薬のように怪しげなサウンド・メイクは、本作オープニング・テーマにその萌芽があったか!

なおこの【Vintage in 70's】シリーズ第3弾、他にもソソられるブツがあるので、これからおいおい紹介していきます。