we'll_makeit_right本日も絶賛風邪と格闘中 熱は37度台に下がったが、身体がバラけそうなほど節々が痛い。ある意味、熱でボーッとしてるより辛いっス それでも2〜3時間おきに寝たり書いたりの繰り返し。風邪っ引きならではの収穫は、やたらリンゴが美味かったのと、初めて相方が作った義母直伝のお粥の深〜い味わい。なんだ、やりゃあデキるぢゃん… 

そんあこんなで、めっちゃリラックスしたのが聴きたくなって、着いて間もないこのアルバムを息抜きに。カナザワが今一番注目しているポップ・クリエイターのひとり、ベニー・シングスが参加しているプロジェクトの作品だ。

メンツはベニー以下、ディーン・ティペット、バート・スエル、ルース、レ・フロッグス、そして紅一点のエクストラ。全員揃ってオランダのDox Recordsに所属するレーベルメイトである。特にディーンはベニーの盟友的存在で、レーベルの人気者ウーター・ヘメルやジョヴァンカのアルバムでも、プロデューサーを務めるベニーと一緒に曲を書いたり、コ・プロデューサーとしてヘルプする仲。バート・スエルはDoxのオーナーで、ベニーのバンドではホーン・セクションを仕切る。他のメンバーたちもベニーの取り巻きばかりで、ハープ奏者兼シンガー・ソングライターのエクストラは、近々ソロ・アルバムが出るようだ。

そんなこんなでベニー好きには必聴のプロジェクトなのだが、大きなポイントがもうひとつ。それはアムステルダムのホテルの一室を一週間借り切り、そこで寝食を共にしながら一気に制作したらしい、ということ。いわゆる合宿レコーディングである。

今ではプロツールスを使えば、宅録でもトンでもなく重圧な作品が作れるし、金をかけずに納得いくまでやり直しがきく。しかしバンドでワイワイガヤガヤと、ゼロから音楽を創っていく共同作業の醍醐味ってあるものだ。だがそれを立派なスタジオでやっていては、湯水のごとく金が流れていく。そこでどこかに場所を借りて合宿レコーディング。他のことに煩わされず、思いついたことをすぐにバンドで試すことができるし、気晴らしにみんなで遊ぶことだってできる。誰かのひと言でヒラメくことだって多いしネ。

70年代の大物ロック・バンドは、みんなそういうレコーディングを恒常的に行なっていた。そう、ストーンズが所有していた モービル・ユニットを借り上げて。場所は教会とか中世のお城、あるいは農場とが多かったか。あのディープ・パープルの名曲<Smoke On The Water>も、スイスかどこかのホテルでレコーディング中に起きた出来事を、そのまま曲にしたもの。ノリノリの時は、そんな突拍子もないコトだってできてしまう。しかも現在では、それがラップトップのコンピュータで行なえるのだから、もっと積極的にやってもイイような…。むしろバンドの一体感が欲しけりゃ、こうやるしかないでしょ。

…ってなワケで、この、ゆ〜るゆるのまーったりなピースフル・セッション。日だまりに腰をかけてティーでもすすりながら聴いてたら、思わずウトウトしてしまいそうな、ほのぼのサウンド。それでもちゃんとベニーらしいヒネリの効いたポップ・センスが宿っているから、そこいらの雑貨屋で売ってる匿名性の高いJポップ・カヴァー集とはひと味もふた味も違うんです。