jose_feliciano_74ニューヨークで活躍した盲目のシンガー/ギタリスト、ホセ・フェリシアーノの黄金期のアルバム4作が、紙ジャケットでリイシューされた。ドアーズ<ハートに火をつけて>のカヴァー・ヒットで出世作となった『FELICIANO!』(68年)、日本でヒットした<雨のささやき>収録の『10 TO 23』(69年)、そしてキャット・スティーヴンス<Wild World>のブラジリアン・アレンジで人気の『THAT THE SPIRIT NEEDS』(71年)とどれも聴いて欲しいところだが、ココではホセ作品で現在最もポピュラーと思える<Golden Lady>を収めたコレをピックアップ。

これは74年にリリースされたRCAでの最終作。今回は外されてしまったが、『THAT THE SPIRIT NEEDS』との間には、スティーヴ・クロッパーがプロデュースを手掛けていたオリジナル・アルバムが3枚がある。60年代末はチャートを荒らしまくっていた彼も、この頃の人気には翳りがあって、本作もチャート・アクションは振るわず、136位が最高位。まさに、スティーヴィー・ワンダーをリメイクした<Golden Lady>がレア・グルーヴ〜フリーソウル・シーンで再評価されなければ、ほとんど忘れられた存在となっていたに違いない。

でもこうしてアルバムを聴くと、なかなかに充実した作品である。とりわけ、情熱的なラテン・エッセンスを取り入れたポップ・アレンジが秀逸。これは彼のプエルトリカンの血から来たもので、最初は泣かず飛ばずだった彼に注目したのも、アルゼンチンの音楽ファンだった。つまり、ホセもまた、実にクロスオーヴァーしたシンガーなのである。

ニュー・ソウルの影響を感じさせるスリリングなファンキー・チューン<Hard Times In El Barrio>に始まり、リンダ・ロンシュタットでお馴染みの<You're No Good(悪いあなた)>、フルムーンみたいな<Virgo>など、聴き処は盛り沢山。当時のセールスが中身の充実度を反映するワケではないことを、今更ながらに痛感する。

そもそも日本人って、哀愁味を漂わすほのかなラテン・テイストに弱いんだよなぁ。ちなみに、ホセで長谷川きよしを思い出すと、歳がバレる?