tavares_new最近、実に美味しいトコロをツマミ喰いしてくる英Big Breakから、今度はタヴァレスの82年移籍作『NEW DIRECTIONS』が初CD化。これもいずれはカナザワ監修の【Light Mellow's Picks】で、と思っていたネタなので、またしても先を越された感じ。でも再発のタイミングはなかなかナイス。だって昨日ポストしたケニー・ノーラン『HEAD TO TOE』とは、異母兄弟とか従兄弟のような関係にあるアルバムなのだから。
80年代のケニーの代表的作品といえば、タヴァレスの<Penny For Your Thoughts>(82年/全米チャート33位/R&Bチャート16位)、ザ・ディールの<Shoot 'Em up Movies>(88年/R&B10位)、アトランティック・スター<Masterpiece>(92年/全米・R&B共に3位)あたりが真っ先に挙がるところ。その<Penny For Your Thoughts>の収録先が、この『NEW DIRECTIONS』なのである。

更に書けば、ケニーはアルバム全8曲中4曲を作曲したうえ、ジェイ・センターと5曲を共同プロデュース。ついでに若手クリエイターが制作した2曲を、アソシエイト・プロデュースしている。残る一曲は、以前からタヴァレスに関わっていたベンジャミン・ライトが手掛けた。

ここで気になるのは、これまで接点がなかったジェイ・センターとガッチリ手を組んでいること。このコンビは、もちろん『HEAD TO TOE』の制作チームでもある。そこで気になるのは、本作で2人がプロデュースしているカヴァー曲<I Hope You'll Be Very Unhappy Without Me>の存在だ。この曲はビル・ラバウンティとジェイ・センターの共作で、ビルの『THIS NIGHT WON'T LAST FOREVER(涙は今夜だけ)』の収録曲で、タヴァレス兄弟の大のお気に入りだったそうだ。しかも<Penny For Your Thoughts>は新曲ではなく、実は74年の作品。ということは……。ま、この続きはライナーを読んで戴く、っちゅうことで。

ついでにケニーはタヴァレスの次作『WORDS & MUSIC』でもタイトル曲を提供し、センターとプロデュース。そしてそこにソーラーの制作陣が深く関わっていたと思ったら、しばらくしてベイビーフェイスがザ・ディールでケニーの曲を歌い、更にレイクサイドも…と。とにかく、いろいろケニーにまつわる妄想を推し広げてくれる作品なのである。