zaP2_G0015464W以前出ていたこの映像作品が、3月に廉価でリイシュー。今その解説を書いている。ラリーにとっては、松本孝弘との共演アルバム『TAKE YOUR PICK』が、グラミー賞最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバムにノミネート中。そしてルークは5月に再集結したTOTOで来日予定と、何かにつけて話題の2人。なかなかの好タイミングなようで…。


ラリーと他のギタリスト共演プロジェクトといえば、95年のラリー&リー(リトナー)が最初。ファンたちはフュージョン全盛期のトップ・ギタリスト競演に大いに沸いたわけだが、実はレコード会社の仕込みだったという裏事情もあって、本人たちは比較的クールにプレイを楽しんでいたように見える。だがルカサーとのジョイントは、日本のブルーノートの提案だったものの、ラリーを師と仰ぐルークのはしゃぎっぷりに、ラリーも相好を崩しっぱなし。初共演は97年の日本ツアーだったが、大阪で録ったライヴを01年に『NO SUBTITUTIONS』としてリリースしたあと、再度ツアーに出て各地を廻った。

このパリでのライヴも、01年7月の公演から。バンドはドラムのグレッグ・ビソネットが不参加になったものの、他は97年のツアーと同じで、リラックスした雰囲気が漂う。収録曲も7曲中4曲は同じ。ただし、オープニングのジェフ・ベック楽曲<The Pump>にスティーリー・ダン<Josie>の一節を盛り込んでみたり、<Don't Give It Up>にルークの<Smell Yourself>を差し込んだりと、新たなお遊びも生まれている。ルークが歌うジミ・ヘン<Red House>では、TOTO張りのコール&レスポンスも。

とにかく、ラリーに向けるルークの眼差しが憧憬と尊敬に満ち溢れていて…。ギター弾きが観れば、運指だのフレーズだのトーンだの、参考になる場面が多々あるだろう。でも何よりもまず、音を楽しむという音楽の本質が、このライヴ映像からはこぼれ落ちんばかり。TOTOとは違ったルークの無邪気な一面が、このギタリスト競演を盛り上げている。

あ、そうそう、同時再発される『オトゥール・デュ・ブルース meets ラリー・カールトン&ロベン・フォード』というブルース・サミットの映像作品も、カナザワが解説書いてます。