janis_ian_remember誠実を絵に描いたようなシンガー・ソングライター、ジャニス・イアンの77年来日公演を収めたアルバム『追想の扉〜ライヴ・イン・ジャパン』(78年発表)が、初めてCDになった。正確には、77年9月の大阪フェスティバル・ホールでの3公演を中心に、その後のシドニー公演まで含めた実況盤である。

へぇ、大阪で3日…?  そう、まさにこの頃のジャニスは、日本では時の人。前年にTVドラマ『グッドバイ・ママ』の主題歌に使われた<Love Is Blind>が洋楽チャートを席巻し、収録アルバム『愛の余韻(AFTERTONES)』の大ヒット。77年春にリリースされたアルバム『奇跡の街(MIRACLE ROW)』からも、<Will You Dance>がTVドラマ『岸辺のアルバム』に使われて大当たり、という人気ぶりだったのだ。

カナザワも『グッドバイ・ママ』でこの曲を知ったクチ。ハード・ロックやプログレを貪るように聴いていた時期だが、<Love Is Blind>の感傷的なメロディと、ヒロインの坂口良子には、当時高校に入ったばかりのカナザワも胸きゅんモノだったのを覚えている。

ま、基本的に、ライヴで云々というタイプのアーティストではないけれど、一生懸命に日本語を話したり、オーディエンスとコミュニケーションを取ろうとするなど、彼女の人柄が反映されたステージングに好感。弾き語りベースのフォーク・シンガーであるジャニスだが、アルバムでは幅広い音楽背景を披露するように、2枚組ライヴもなかなか多彩で飽きさせない。彼女にピッタリ寄り添うコーラスも印象的だ。当時のツアー・メンバーに、アレンジャー/プロデューサーとしても有能なデヴィッド・ウルファート(g)がいたのは少々意外だったが、やっぱり彼がバンド・マスターだったのかな?

それにしても、ライヴ・アルバムでありながら、オーディエンスの静かなことにビックリ。多少の編集はあったのだろうが、ジャニスが歌っている間はじっくり耳を傾け、曲が終わると盛大な拍手を送る。今では考えられないことだけど、70年代に日本へツアーにやってきたアーティストたちには、客の反応が静かでウケてない、と勘違いするパターンが多かったそうだ。