hall_oates_live76_77ホール&オーツが大ブレイクする以前、 RCAに移籍して間もない頃のライヴ映像が、来月再発売される。現在そのDVD用の解説を執筆中。

映像の元ネタは、独のTV番組『MUSIK LADEN』。おそらくはヨーロッパ・ツアー中に出演したのだろう、彼らは76年と77年と2年連続でこの番組に出て、スタジオ・ライヴを披露している。アルバムでいえば、移籍第1弾に当たる75年作『サラ・スマイル(DARYL HALL & JOHN OATES)』と『ロックン・ソウル(BIGGER THAN BOTH OF US)』の間に1回、そして次の『裏通りの魔女(BEAUTY ON ABACK STREET)』を出す前に1回。

当時はスタジオ・ミュージシャンをレコーディングに起用していたため、ツアー・メンバーには若手が多い。ギターのトッド・シャープ(g)は当時新人で、後にフリートウッド・マック関連のミュージシャンやボニー・レイットのサポートで有名になる。まだ19歳ということで、76年の出演では初々しさいっぱいだが、翌年はダンディに変身していて、まるで別人28号だ。今もホール&オーツと行動を共にするチャールズ・デシャント(sax,kyd)も、今とは別人28号。ベースのスティーヴン・ディーズは、77年にダリル制作でソロ・デビューしていて、バンドの面々も揃って参加している。

もちろんダリルもジョンも若々しいが、ブレイク後のヒット曲オン・パレードのステージとは違って、適度にメンバーのソロ・パートを作り、如何にもロック・バンド然としたパフォーマンス。手慣れた感じがなく、溌剌とひたむきに演奏している。もちろん<She's Gone>や<Rich Girl>、<Sara Smile>といった初期代表曲は網羅。当時のマネージャー:トミー・モトーラ(後に米ソニー・ミュージックのトップ、マライア・キャリーの旦那として有名に)を賞賛した<Gino The Manager>や、メロウな<Is It A Star>など、この時期ならではのレパートリーも楽しめる。黄金期以降の彼らしか知らない方は、是非チェックして欲しい映像だ。