chicago_live75シカゴの新作は、ビル・チャンプリンの後釜にルー・パーディニを迎えての作品と思いきや、実は75年の発掘ライヴ。メリーランド州ラーゴでの公演をCD2枚に収めたもので、ピーター・セテラやテリー・キャスがいた頃のオリジナル・シカゴが、約120分に渡って楽しめる。

彼らの70年代のライヴ盤というと、71年の『AT CARNEGIE HALL』、72年の『LIVE IN JAPAN』があるが、本作の特徴は、良くも悪くも作りがラフなところ。音質自体はいわゆるサウンドボード音源らしく、何の問題もないが、演奏に勢いがある分、ヴォーカルはピッチを外したり、ちゃんとハモっていない箇所が耳につく。時代が時代なので、どのライヴ盤もおそらくヴォーカル差し替えなどしてないと思うが、ナマナマしさでは今作が一番。この年の全米ツアーはビーチ・ボーイズと一緒にダブル・ヘッド・ライナー形式で行なわれ、双方のメンバーが一緒になって大いに楽しんだそうだから、そうしたノリの良さ、パーティー気分が、そのままステージに反映されたのだろう。完璧を期す演奏ではなく、みんな一緒に楽しもう、という趣きのパフォーマンス。だから部分部分で、キメ細かさを欠くところがある。もしピーターが今もバンドにいたら、発売を許可しなかったかも知れない。

収録曲も、この時点で既発表だった全8作からバランス良く選ばれ、中にはこの後セットリストから溢れていく楽曲も。その中でひとつのハイライトが、ここでしか聴けないビートルズのカヴァー<Got To Get You Into My Life>だ。シカゴがブラス・ロックへ向かうキッカケとなった曲とも言われるが、まさにジャスト・フィットのチョイス。この曲のカヴァーというと、アース・ウインド&ファイアーが映画『SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』(主演はビー・ジーズとピーター・フランプトン)に出演した時に演奏したのが有名だが、それ以前にシカゴもライヴで演っていたわけで…。うーむ、アースは果たしてシカゴのカヴァーを意識していたのかどうか…。何とも興味深いところだ。

それにしても、このプレイリストの6〜7割の楽曲が現在も演奏され続けているのだから、これは驚異的だ。メンバーだって半分が入れ替わっているというのに…  そういえば、お馴染みのアルバム番号も、今作は『34』になっている。スルーされた『33』は新録クリスマス・アルバムに割り振られたらしく、今秋にはお目見えしそうだ。それはそれで期待したいが、結局『XXX』以降は再び純オリジナル作品から遠ざかってしまっているわけで…。『21』から『XXX』のような15年のブランクは、もう年齢的に許されんぞぉ

ちなみにこのライヴは、ライノ・ハンドメイドでの限定発売。日本ではワーナー・ミュージック・ダイレクトでのみ、輸入盤国内仕様でゲットできる。収録曲などの詳細なインフォーメーションも、そちらをご覧あれ。