doobies_farewell_tour数日間費やして、カンサスの解説3本目をほぼ脱稿。気晴らしに、発売されたばかりの、ドゥービーの解散コンサートのDVDを観た。

この映像は、かつてレーザー・ディスクやVHSで発売されていたもので、TVでも放映済み。今回の初DVD化では、当時は未発表だった5曲を加え、全21曲のフル・ヴァージョンとなった。現在このライヴCDが入手困難であることから、日本では2枚組CDも同時発売されている。

トム・ジョンストン主導の前期と、マイケル・マクドナルドがイニシアチヴを握った後期で、まったく違った音楽性を打ち出したドゥービーズ。『ドゥービー天国』や『スタンピード』からドゥービーを聴き始めたカナザワは、その両方を堪能できた最後の世代だが、再結成がトム・ジョンストンとパット・シモンズ中心に行なわれたように、やはり前期ドゥービーが本来の姿だろう。このフェアウェル・ステージでも、初期の豪快なアメリカン・ロック・チューンでは、総勢8人のメンバーが躍動感たっぷりにノリノリでプレイしているのに対し、後期の曲では動きが少なく、ちょっと窮屈そうに演奏に集中しようとしているのが伝わってくる。サラッとソフトな感触の後期楽曲だが、実際はアレンジが緻密で再現が難しいのだ。黄金期を支えたメンバーが相次いで抜け、ウィリー・ウィークス(b)やコーネリアス・バンパス(kyd,sax)のような人が加入したのも、そういう方向性にあったからと言える。

ツアー中に初めてのソロ・アルバムを発表したマイケル・マクドナルドは、大ヒット中だった<I Keep Forgettin'>を披露。そういうところが理解のない一部オールド・ファンから顰蹙を受けたりするが、本人は至って控え目で、ドゥービーのツアーでソロ楽曲を演ることに恐縮していたらしい。おそらくパットに促されて、セット・リストに組み込んだに違いない。

とにかく地元へ帰ってきてのツアー最終日ということで、ファンは終始盛り上がりっ放し。<China Grove>でトム・ジョンストンが登場すると、それが一気にピークに達する。再結成後はいくつかのライヴ作品を出してるドゥービーだけれど、これほど熱いステージは、さすがにお目にかかれない。

なお初見参の5曲は、いずれも後期のAOR系楽曲。本編は前後期を総括したグレイテスト・ヒッツ的な選曲だったが、実際はもう少し新しめのナンバーをフィーチャーしていたようだ。特に<Dependin' On You>のハーモニー・ワークは大きな聴きモノ。叶うなら、一度くらいはマイケル入りの再編ドゥービーで日本へ来てくれないかしらね?