playerNHKーFM『今日は一日AOR三昧』を目前にして、カナザワが監修したユニバーサルさんの再発シリーズ “Light Mellow 2011” 7月発売分8タイトルのサンプル盤が到着した。ラインナップ的にはレア盤などないけれど、自分の気持ちを盛り上げて行く上では、なかなか良かタイミングで来たモノである。

そこで真っ先に取り上げるのは、意外にも、今回が単体として初CD化となる(過去2in1でしかCD化になっていない)プレイヤーの77年デビュー作。そう、超名曲<Baby Come Back>を収録したあの皿だ。

当時のラインナップは、英国はリヴァプール出身のピーター・ベケット(g,vo)とテキサス出身のJ.C.クロウリー(kyd,vo)、L.A.のローカル・バンドを転々としていたロン・モス(b,vo)、そしてロンのハイスクール時代のバンドメイトだったジョン・フリーゼン(ds)の4人に、ジャケ写撮影後にメンバーとなった元ステッペンウルフのウェイン・クック(kyd)。結成の流れは解説に詳しく書いたが、ベケットがミュージシャンを目指したキッカケは、地元キャヴァーン・クラブで若き日のビートルズを観たこととか。その後ロンドンへ出て、キンクスやザ・フーのプロデューサーとして知られるシェル・タルミー、そして何とレイ・デイヴィス自身のサポートを受け、16歳でバンド・デビューしたそうだ。後に彼はプログレ系のパラディンに参加してアルバムを出すが、まだまだその前があったのだ。

実はベケット、後にシンク・アウト・ラウドを組むスティーヴ・キプナーとも70年代初めからの旧友同士。プレイヤーの前身となったリフ・ラフは、元々彼ら2人が中心で、デニス・ランバート&ブライアン・ポッターに認められたのは、キプナーとJ.C.が交替して間もない頃だったらしい。キプナーが本作の2曲で曲作りに絡んでいるのは、リフ・ラフ時代に書かれた楽曲だからである。でもそこには、何故かベケットの名はなく…。

…というか、プレイヤーはベケットを中心に組まれたグループのはずなのに、彼がソングライターとして参加したのは、何故かたった2曲のみ。もちろん一方は<Baby Come Back>だが、これは一体どういうこと?  これが長年の謎だったのだが、この解説を書くためにいろいろ調べて、やっと理由が分かった。その種明かしも、是非ライナーで。

デビュー当時は、スティーリー・ダンやホール&オーツのパクリと揶揄されたプレイヤー。でもそんなのは、幅広い音楽性を呑み込んだプレイヤーのホンの一部に過ぎない。曲に拠ってはドゥービー、サンタナ、カラパナ風だったりもする。アルバムとしては<Baby Come Back>だけが突出した感があるものの、いま改めて聴くと、聴きドコロは少なくない。ベスト盤でOKと思っていた方は、この機会に是非チェックを。