dj_prattヒンヤリ涼しくなって過ごしやすいどころか、夏風邪を引きそうなくらいだが、まだまだハワイ・モードは続行中。いま執筆中なのは、カラパナのギタリストであるD.J.プラットが、デヴィッド・ジョン名義で79年に発表した唯一のソロ・アルバム『BRANDED(MR.ブルースカイ)』である。

来日中だったD.J.にインタビューしたところでは、「カラパナとは違った、自分のルーツに立ち返った作品」だとか。確かにカラパナよりも全体的にファンキーである。…とはいえ、マッキー・フェアリーのようにブルー・アイド・ソウル寄りではなく、フュージョンやブラック・コンテンポラリー・テイストの、16ビート系でハネたアンサンブルを聴かせる内容だ。

参加ミュージシャンの顔ぶれも、ベースのウェルトン・ガイトがジャズ・ファンク系のゲイリー・バーツやビリー・プレストンなどとプレイしてきた黒人ミュージシャン。セカンド・ギターのワーナー・シュックナーは、77年にソーラー・レーベルにアルバムがあるサンベアーの片割れだ。更に『KALAPANA II』以来、D.J.を支え続けるアルヴィン・フェジャラング(ds)も参加している。D.J.自身の資質に加え、この辺りの顔ぶれが本作のクロっぽさに貢献したのは間違いない。

収録曲のいくつかは、如何にもカラパナ風。しかし中にはドゥービー調の豪放シャッフルがあったり、サンタナを思わせる壮大なラテン・フュージョン・ナンバーもある。意外なところでは、ビートルズ<Help>のカヴァーも。カラパナにあってココにないのは、マラニ・ビリューがもたらすロコ・トラディショナル&カントリーの臭いか。

会って話した印象は、寡黙でとても真面目な音楽人間風だったD.J.。今ではハワイのトップ・エンジニアのひとりとしてかなり忙しくしている様子で、この来日前にもフラのコンペに使われる曲のレコーディングのため、5週間で84曲を仕上げ、それこそフラフラになっていたそうだ。

ちなみにカナザワのハワイ関連のお仕事は、これでサマー2枚、マイケル・パウロ(sax)のファーストと、このD.J.プラットで、4/5が終わる。自分もフラフラだけど、あとひと息…