
今井美樹のニュー・アルバム『Colour』がイイ。途中、ユーミンのカヴァー・アルバム『Dialogue -Miki Imai Sings Yuming Classics-』があったけれど、純粋なオリジナル・アルバムとしては6年ぶり。ロンドンへ渡ってからは、初めての作品だ。それなのに、40〜50歳代のポップス・シンガーが今のJ-ポップ・シーンでやるべきことをシッカリ掴み採って実践している。“木を見て森を見ず” というように、少し距離を置いている方がシーン全体を俯瞰しやすい面はあるだろうが、そこはやはりプロデューサーにして夫である布袋寅泰の目利きの成せる業だろうか。
前作で、ジャミロクワイやビョークを手掛けたサイモン・ヘイル、そしてインコグニートの総帥ブルーイと邂逅した彼女。この新作では彼ら2人に加えて、シャーデーのメンバー:アンドリュー・ヘイルが合流し、プロデュース、ソングライティング、アレンジ、演奏を分け合っている。しかも作曲陣には、今井美樹の初期作品を手掛けていた上田知華が、約20年ぶりに参加。文字通り<再会>という楽曲を提供した。
聞けば、キーワードは “ダンス” だったとか。いわゆるダンス・ミュージックではなく、心が踊るような音楽のこと。それを反映させてか、アルバム前半ではアシッド・ジャズやAOR系の心地良いシティ・グルーヴに乗せられる。とりわけ<DRIVEに連れてって>を髣髴させるオープニング・チューン<Anniversay>が素晴らしく、自分はコレをFMで耳にした瞬間に購入を即決した。
更に聴き進んでいくと、徐々にミディアム系の落ち着いたナンバーが中心になり、ジックリと耳を傾ける感じに。そして7曲目<ひまわり>や8曲目<窓辺>あたりから、心の内面を切なく歌い込んだバラード群へと展開していく。そうなれば、もう彼女の独壇場。
全11曲52分あまり、というアルバムの尺は、今の時代のCD作品としては短い。でもそれを計算に入れたアルバム構成が実に見事だ。収録時間をメいっぱい使ってサービス精神を発揮したつもりでも、聴く方は勝手に好きな曲だけを引っこ抜く。そうした傾向は配信時代になって更に強くなった。でもこのアルバムは、流れに乗って聴くコトで、それぞれの楽曲が輝きを増すように作られている。量より質、と言い切れるほど単純ではないが、表現者たるもの、商品性の高いシングルよりもアルバムに向かうのは当然の摂理だろう。
バラエティに富んだカラフルな作品ながら、現在の今井美樹を等身大で表現している『COLOUR』。米国式表記の “color” ではなく、あえて英国式スペルの “colour” なのも、自然体の彼女らしいところだ。
聞けば、キーワードは “ダンス” だったとか。いわゆるダンス・ミュージックではなく、心が踊るような音楽のこと。それを反映させてか、アルバム前半ではアシッド・ジャズやAOR系の心地良いシティ・グルーヴに乗せられる。とりわけ<DRIVEに連れてって>を髣髴させるオープニング・チューン<Anniversay>が素晴らしく、自分はコレをFMで耳にした瞬間に購入を即決した。
更に聴き進んでいくと、徐々にミディアム系の落ち着いたナンバーが中心になり、ジックリと耳を傾ける感じに。そして7曲目<ひまわり>や8曲目<窓辺>あたりから、心の内面を切なく歌い込んだバラード群へと展開していく。そうなれば、もう彼女の独壇場。
全11曲52分あまり、というアルバムの尺は、今の時代のCD作品としては短い。でもそれを計算に入れたアルバム構成が実に見事だ。収録時間をメいっぱい使ってサービス精神を発揮したつもりでも、聴く方は勝手に好きな曲だけを引っこ抜く。そうした傾向は配信時代になって更に強くなった。でもこのアルバムは、流れに乗って聴くコトで、それぞれの楽曲が輝きを増すように作られている。量より質、と言い切れるほど単純ではないが、表現者たるもの、商品性の高いシングルよりもアルバムに向かうのは当然の摂理だろう。
バラエティに富んだカラフルな作品ながら、現在の今井美樹を等身大で表現している『COLOUR』。米国式表記の “color” ではなく、あえて英国式スペルの “colour” なのも、自然体の彼女らしいところだ。