『Last Love Song』には洋楽や70年代の日本のポップスの先陣達への『憧れ』がある。この『憧れ』がワクワク感や上に向かうエネルギーを運んでくれる
大学の軽音サークルで活動していたバンドが、卒業記念に自主制作盤を作り、周囲の人たちに配ったり売ったりする行為は、別段珍しいコトではない。しかしそれが80年頃となると、少々事情が違ってくる。今のように優れた宅録ツールが揃っているワケではないし、CD-Rで 気軽に複製することもできない。バンドならチャンとスタジオでレコーディングし、工場でレコードをプレスしてもらわなければならないのだ。だからそれなりの資金と人脈が必要で、自主盤といえども おいそれとが作れるワケじゃない。しかも内容的にアマチュア・レヴェルを超越しているとなれば、その数はグッと限られる。
それだけに、30年の時を越えて11年にCD化された “山下達郎フォロワーのパイオニア” so niceの『LOVE』は、画期的な発掘作品だった。そして間もなく、so niceに勝るとも劣らない発掘劇が繰り返されることになる。それが、高村洋一 with ポチ マーク2『ラスト・ラブ・ソング』である。
高校時代はフォークを歌っていた高村が、慶應義塾大学に進学して入部したのが、“リアルマッコイズ”という軽音サークル。そこにいたのがデビュー前の杉真理や竹内まりやだ。そうした才能のある先輩やセンスの良い仲間たちに感化され、友人に聴かされた山下達郎『SPACY』の世界観にドップリとハマった高村は、すぐにフォークからシティ・ポップス系にシフト。未来のセッション・ミュージシャンや芸術家の卵たちに囲まれながら、バンド活動を謳歌した。プロへの誘いもなかったワケではなかったが、何度か作ったデモ・テープが報われることはなく、当時ハヤリのポプコンやEast Westといったコンテストに出場する機会も得られなかった。そのまま4年になって就職活動を開始。でも社会へ出る前に、学生時代の音楽活動の集大成としてレコードを作り、デビューへの想いにケジメをつけたい。それが、このアルバムを作るキッカケになった。
空港のS.E.からアカペラ、そしてゆったりリズムを刻むメロウ・ミディアムへと続いていくアルバム冒頭の流れは、まさに絶品。リリカルなバラードも美味だし、サンバのグルーヴやボサノヴァ・チューンのアンニュイ感もシッカリ表現されている。ドライヴ感のある<ポーカーフェイス>、ポップなメロディが耳に残る<ナンパ船の上で>あたりは、本当に学生シンガー・ソングライターの作品とは思えない。サラリーマン生活の傍ら2000年に録音され、今回はボーナス・トラックとして収録されたジャズ・バラード<ひとりぼっちのバレンタイン>は、まさにネッド・ドヒニーの<Valentine>がモチーフか?
35年前の自主盤ゆえ、多少のチープ感は漂う。それでも昨今の若いバンドによるガレージ・サウンドよりはるかに表現力があり、味わい豊か。とりわけ楽曲自体の出来の良さは、完全にプロはだしと言える。もちろん杉さんの影響は少なくないが、個人的には、シュガー・ベイブを起点にして、稲村一志&第一巻第百章やルウ、スーパー・パンプキンの方向へ進んだ感じがある。
オリジナルの自主盤は200枚しか作られず、昨今の自主盤マニア(?)の間では、かなりの高値で取引されていたとか。でももうそれも、このCD化でピリオドが打たれるだろう。まさに、so niceを初めて聴いた時の感動、いま再びだ。発売は7月22日、我がLight Mellow's Choiceより。
それにしても、顔合わせの時にチラッと見せていただいた学生時代のまりやさんの写真、超ド級の可愛いらしさだったな…
それだけに、30年の時を越えて11年にCD化された “山下達郎フォロワーのパイオニア” so niceの『LOVE』は、画期的な発掘作品だった。そして間もなく、so niceに勝るとも劣らない発掘劇が繰り返されることになる。それが、高村洋一 with ポチ マーク2『ラスト・ラブ・ソング』である。
高校時代はフォークを歌っていた高村が、慶應義塾大学に進学して入部したのが、“リアルマッコイズ”という軽音サークル。そこにいたのがデビュー前の杉真理や竹内まりやだ。そうした才能のある先輩やセンスの良い仲間たちに感化され、友人に聴かされた山下達郎『SPACY』の世界観にドップリとハマった高村は、すぐにフォークからシティ・ポップス系にシフト。未来のセッション・ミュージシャンや芸術家の卵たちに囲まれながら、バンド活動を謳歌した。プロへの誘いもなかったワケではなかったが、何度か作ったデモ・テープが報われることはなく、当時ハヤリのポプコンやEast Westといったコンテストに出場する機会も得られなかった。そのまま4年になって就職活動を開始。でも社会へ出る前に、学生時代の音楽活動の集大成としてレコードを作り、デビューへの想いにケジメをつけたい。それが、このアルバムを作るキッカケになった。
空港のS.E.からアカペラ、そしてゆったりリズムを刻むメロウ・ミディアムへと続いていくアルバム冒頭の流れは、まさに絶品。リリカルなバラードも美味だし、サンバのグルーヴやボサノヴァ・チューンのアンニュイ感もシッカリ表現されている。ドライヴ感のある<ポーカーフェイス>、ポップなメロディが耳に残る<ナンパ船の上で>あたりは、本当に学生シンガー・ソングライターの作品とは思えない。サラリーマン生活の傍ら2000年に録音され、今回はボーナス・トラックとして収録されたジャズ・バラード<ひとりぼっちのバレンタイン>は、まさにネッド・ドヒニーの<Valentine>がモチーフか?
35年前の自主盤ゆえ、多少のチープ感は漂う。それでも昨今の若いバンドによるガレージ・サウンドよりはるかに表現力があり、味わい豊か。とりわけ楽曲自体の出来の良さは、完全にプロはだしと言える。もちろん杉さんの影響は少なくないが、個人的には、シュガー・ベイブを起点にして、稲村一志&第一巻第百章やルウ、スーパー・パンプキンの方向へ進んだ感じがある。
オリジナルの自主盤は200枚しか作られず、昨今の自主盤マニア(?)の間では、かなりの高値で取引されていたとか。でももうそれも、このCD化でピリオドが打たれるだろう。まさに、so niceを初めて聴いた時の感動、いま再びだ。発売は7月22日、我がLight Mellow's Choiceより。
それにしても、顔合わせの時にチラッと見せていただいた学生時代のまりやさんの写真、超ド級の可愛いらしさだったな…