gerrard kenny
今日は再び【AOR CITY 1000】に戻って、7月発売分から注目の1枚、英国でデビューしたシンガー・ソングライターで、バリー・マニロウに楽曲提供して名が知れたジェラード・ケニーの2nd『LIVING ON MUSIC』(80年)をご紹介。実はこの人、元々は生粋のニューヨーカーで、無名時代の70年代初頭にはビリー・ジョエルと一緒にバンドを組んでいたというキャリアの持ち主である。

デビュー・アルバム『MADE IT THRU THE RAIN』(79年)は、当時日本では発売されなかったものの、拙著『AOR Light Mellow』に掲載したこともあって、紙ジャケット仕様で発売済み(ジャケは英国盤仕様のダブル・ジャケ)。この2作目は日本でのデビュー作に当たり、収録曲<Southern Comfort>で世界歌謡祭に出場したため、当時のアナログ盤はそれが邦題に使われている。

音を聴いて思い浮かべるのは、やはりビリーとエルトン・ジョンといったピアノ系シンガー・ソングライターたち。共に彼自身がフェイヴァリットに挙げる人で、他にレノン=マッカートニー、ミック・ジャガー=キース・リチャーズ、ランディ・ニューマンらに影響を受けたそうだ。プロデュースはシーナ・イーストンやマイク+ザ・メカニクス、ムーディ・ブルース、セリーヌ・ディオンなどで知られるクリストファー・ニール。

バックにも、フィル・パーマー(g/ブリス・バンド)、モー・フォスター(b/元アフィニティ)、ピーター・ヴァン・フック(ds/スタクリッジ)、フランク・リコッティ(perc)ら英国のファースト・コールが参加。AORファンが気になるのは、元パイロットのビル・ライオール(syn)、バック・ヴォーカルで参加したザ・デュークスの片割れドミニク・ブガッティの存在か。実はこのご両人、当時のニールのセッションでは常連だった。

ただしレコーディングは、何故か米国コロラド州の山地にあるカリブー・ランチで。かのウィリアム・ジェイムス・ガルシオのスタジオで、かつてはシカゴやビーチ・ボーイズが根城にしていた。叙情性を打ち出した1stと違い、何処かカラッとした仕上がりなのは、こうしたスタジオの空気感が映り込んだためだろう。ピアノ・マン的な作風にもポップな感覚が押し出され、より親しみやすく仕上がっている。<Jailbert>や<You’re The Best>のコーラスは、ちょっぴりビーチ・ボーイズっぽく。個人的なお気に入りは、クリス・レアを髣髴させる<The Crime That Pays>。これはシリーズのスピン・オフ的コンピレーション『Light Mellow ONE DAY』にも収録した。

ちなみに、オビやパンフレットには【世界初CD化】とあるけれど、コレ、実は【日本初CD化】の間違い。90年始め頃に、何故かフィリピンでCD化されていたのだ。ただしジャケはトリミングを変えた廉価仕様で、日本では激レア。某オークションでは、今回の廉価盤の20〜30倍の価格で出品されていたりするが、大枚を出すネタでもないので、カナザワも持ってない。なので現状としては、世界初と同等の価値があるといっても良い。1000円ポッキリ(+税)で買えるうちに買うときや。