gardner fuller
今までにトム・スノウやスティーヴ・ドーフのデモ・ソング集をリリースしたり、国内盤も登場したデヴィッド・フォスター・ソングブック『FLY AWAY』を制作しているスペインのAORレーベル、 Contante & Sonante。今回そこから登場してきたのは、サンフランシスコを拠点にするソングライター・チーム:Gardner & Fuller によるオリジナル・デモ集だ。

このContante & Sonante がこだわっているのは、デヴィッド・フォスターの秘蔵っ子だった故ウォーレン・ウィービーのヴォーカル作品を追いかけること。トム・スノウやスティーヴ・ドーフのデモ集もそうだったが、今回もウォーレンが全12曲中2曲でリード・ヴォーカル、もう2曲でコンビの片割れであるセシリー・ガードナーとのデュエットを披露している。デモ集なので打ち込みベースだが、曲によっては元イエロージャケッツのウィル・ケネディ(ds)、ベテラン・セッションマンのボブ・マンの名も。

彼らがウォーレンと知り合ったのは、89年にサンタモニカのカフェで開かれたデヴィッド・フォスターの作曲セミナーに参加した時のこと。この時フォスターはウォーレンを連れてきて、実演しながらプログラムを進行させたそうだ。そこでスコット・フラーはフォスターの指名でステージに上がり、ウォーレンの歌でフォスター・クラシックであるチャカ・カーン<Through The Fire>をプレイしたという。これを機に交流が生まれ、2人の楽曲のデモ制作にウォーレンが参加することになった。

ちなみにセシリーはシンガーとして、ボビー・マクファーリンやダイアン・リーヴス、リンダ・ティレリー、パティ・カスカート(タック&パティ)らを仕事をしてきたとか。スコットはサウンド・クリエイターとしてアレンジやプロデュースで活躍。スムーズ・ジャズのギタリト:クリス・カモッツィとしばしば共演しているらしい。

作風としては、ウォーレンが歌う曲、セシリーが歌う曲に関わらず、徹頭徹尾デヴィッド・フォスター節。しかもフォスターが一番彼らしさを発揮した80年代半ば〜90年代初め頃のような、瑞々しいバラード、リッチなミディアム・スロウのオン・パレードになっている。事情を知らないフォスター・ファンに音だけ聴かせたら、必ずクレジットにフォスターの名を探し、お目当が見つからず「これ何ですか?」と反応すること請け合い。それこそ、何処かのメジャー・アーティストに楽曲提供していても良さそうだが、そういうデータは不思議と見当たらない。まぁこの時期は、誰もがフォスター調バラードを書いていたから、表舞台に出るには営業力や強力なコネが必要だったのだろう。

それにしてもウォーレンの美声は、未だ色褪せず。アルバムが完成していながらお蔵入りしてしまったというウォーレンをフィーチャーしたNext Millenium の音源は、いつか聴ける日が来るのだろうか?

ちなみにこのデモ盤は1000枚限定プレスで、しかも販路が限られている。現時点では以下サイトへダイレクトにオーダーするのが確実です。

Contante & Sonante / Gardner & Fuller