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大物プロデューサー:トミー・リピューマの訃報が飛び込んだり、確定申告に追われたり、何かと心が落ち着かない中、断続的にプライヴェートなジョージ・ハリスン祭り開催中。先週のディスクユニオンのイベントでも、“ビートルズの4人の中で一番AORしている人” としてジョージを挙げ、79年作『GEORGE HARRISON(慈愛の輝き)』から<Love Comes To Everyone(愛はすべての人に)>をプレイした。再発CDが届いて真っ先にプレイヤー乗せたのは、やはり『ALL THINGS MUST PASS』だったけど、今はポジティヴな愛のエネルギーに満ちたこの『CLOUD NINE』(87年)から元気を貰っている。

ジョージのソロ作13作が紙ジャケで一挙再発されたのが、先月24日。2週間ほど経って、その売上ランキングのトップ5が明らかになった。発表したのは、発売元であるユニバーサル・ミュージック。

1. オール・シングス・マスト・パス
2. クラウド・ナイン
3. ライヴ・イン・ジャパン
4. リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド
5. 慈愛の輝き(原題:George Harrison)

ま、さもありなん、という納得のランキング。『慈愛の輝き』が入って来るというのは、最近のジョージ再評価の賜物、といえるかな。個人的には、ジョージのソロで初めて新作購入し、トム・スコット率いるL.A.エキスプレスの活躍やロン・ウッドと共作した隠れ名曲<Far East Man>に感激した『DARK HORSE』にも愛着があるけど、まぁ、世間的評価には納得できるか。

『CLOUD NINE』といえば、ジェフ・リンが共同プロデューサーに座った、軽快なロックン・ロール・アルバムである。ジョージ自身が80年代的な音作りを嫌い、本物のバンド・サウンドを求めたそうだ。でもそれは、早い話、ビートルズ・サウンドへの回帰だった。とはいえ、ほとんどの楽器はジョージ自身とジェフで分担。ドラムにはリンゴ、ジム・ケルトナー、レイ・クーパーらを呼び、サックスはジム・ホーンが担当した。あとはごく親しい友人たち、エリック・クラプトンやエルトン・ジョン、ゲイリー・ライトらが適宜。それでも出てくる音は、ビートルズ回帰を思わせる溌剌としたサウンドだった。

    君に狙いを定めたよ
     この気持ちは今度こそ本物だ
     全力で当たれば、必ず望みが叶うだろう
     君に狙いを定めたよ
 


何と15年ぶりに全米チャートNo.1に輝いたこの曲<セット・オン・ユー(Got My Mind Set On You)>。60年代の古いロックン・ロールを明るく歌い飛ばすジョージに、思わず自分を奮い立たせてもらったりして。

さて次は、能天気で意外に良さげな『GONE TROPPO』(82年)でも行ってみますか!