coconuts bank
行き慣れたライヴ・ハウス:下北沢440で、伊藤銀次率いるココナツ・バンク『イエ〜イエーで Goin7 On!!』を堪能。73年の解散から早44年。アルバムも出せずに散ったはずのバンドが、03年のミニ・アルバム発表を経て、今年は初のコンプリート・アルバムを出した。それだけでも有頂天なのに、超ご機嫌なこの日のライヴ・パフォーマンス。あれだけ人が入っている440も、初めて見たわぁ〜!

定刻を少し回り、ライヴ用にリ・アレンジされたと思しき<Cconut Holiday>ショート・ヴァージョンでスタート。メンバーは銀次さん以下、オリジナル・メンバーである上原ユカリ(ds)、井上富雄(b)、そして田中拡邦(g/ママレイド・ラグ)に、サポート・メンバーの浦清英(kyd,sax)。続けて<日射病>、<天気予報図>、<流星ラプソディ>とアルバム曲を連続で繰り出し、一気にココナツ・バンクの世界へと誘われた。

このあと、ココナツ・バンクのアルバムにゲスト参加しているピアノ・マン、リクオが登場。彼はニューオリンズを始めとするアメリカン・ルーツ・スタイルが注目される人で、各方面から高く評価される個性派。オリジナル曲で場内を沸かせたあと、<おはよう眠り猫君>やオールマン・ブラザーズさながらの<じんじんじん>など、リクオがゲスト参加したアルバム曲をプレイ。独特でコロコロ転がるようなタッチのピアノ・プレイで、銀次サウンドを彩った。そしてリクオの最新作『HELLO』から、まるで銀次さんオマージュのような<永遠のダウンタウン・ボーイ>を。コレが素晴らしく良かった。リクオの名は前から知っていたし、著名アーティストとの共演歴がスゴイ人だから、多少聴きかじってはいたけれど、こうしてライヴを観るのは初めて。こりゃあ要チェックだわ〜!

ゲスト・コーナーのあとは、甘酸っぱい<春待ち顔 人待ち顔>、そして田中拡邦フィーチャーの<Watson>(ママレイド・ラグの初期楽曲)、井上富雄が歌う<Crazy Love>(ヴァン・モリソン、ジェシ・エド・デイヴィスなど)と、味わい深いナンバーを立て続けに。銀次さんは田中氏を「ギターは鈴木茂、声は大滝詠一」と紹介したが、まさに言い得て妙。自分も初めてママレイド・ラグを聴いたときは、ブッ飛びましたもん。<Crazy Love>は何と言っても選曲が絶妙で。

本編ラストの盛り上げ曲は、一番ハードな<MAD冬景色>と、やっぱり<東京マルディグラ>のセカンド・ライン・ファンクで。アンコールではテーマ曲というべき<Coconuts Holiday>現行ヴァージョンと、リクオのピアノを交えた<愛はちょっと>をウェットに披露し、オトナのエンディング。

MCでは「目指せ、武道館!」みたいな話が飛び出したけれど、場所はともかく、もっともっとみんなに聴かせたい、聴いてほしい。そんな思いを抱かせる素敵なステージだった。

  《Set List》
1) オープニング・メドレー :
  Little Walter Rides Again
  〜COCONUT HOLIDAY 2013 (ショート・ヴァージョン)
2) 日射病
3) 天気予報図
4) 流星ラプソディ
5) アイノウタ (リクオ Vo)
6) ざっくばらん(with リクオ)
7) おはよう眠り猫君(with リクオ)
8) じんじんじん (with リクオ)
9) 永遠のDOWN TOWN BOY (リクオ Vo)
10) 春待ち顔 人待ち顔
11) ワトソン(田中拡邦 Vo)
12) Crazy Love (井上富雄 Vo)
13)航海記
14) 憧れの南国鉄道
15) MAD冬景色
16) 東京マルディグラ
-- Encour --
17) COCONUT HOLIDAY 2017
18) 愛はちょっと(with リクオ)

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