craig mirijanian
先週のお彼岸墓参に続き、今週はそぼ降る雨の中、母親の名代として親戚の法事へ。楽しい行事じゃないけど、仏像に囲まれたお寺さんの凜とした空気感は、何処か身が引き締まるようで、嫌いじゃありません…(ちーん

さて今日のチョイスは、フランスの再発レーベル:Sunset Dream Recordsが最近CD/アナログ抱き合わせでリイシューして超ビックリしたクレイグ・ミリジャニアン、80年のワン&オンリー作。大メジャーのワーナー・ブラザーズから発売されたが、当時は日本発売がなく、紹介されることはほんどなかった。かくいう自分も、ライター転身前のサラリーマン時代に在籍した某AOR系秘密結社(?)の仲間に教えてもらったアイテム。

その時に伝えられたニュアンスが、ど・ストライクのAORではないけれど、シンガー・ソングライター系のウエストコースト・サウンドと、80年代の 産業系ポップ・ロックの魅力を少しずつ併せ持ったアーティスト、というもの。ミリジャニアン自身はギター、ベース、キーボードも弾くマルチ・タレントで、しなやかなハイトーン・ヴォイスも好印象。バックにはマーク・ゴールデンバーグ(g)、ラスティ・ヤング(steel g./ポコ)、トニー・ケイ(kyd/元レインボー)、リー・スクラー/ボブ・グラウブ(b)、スティーヴ・フォアマン(perc/ゲントル・ソウツ)ら、キャリア組と当時の中堅ドコロがキャスティングされていた。元々はフィラデルフィアからナッシュヴィルあたりが地盤らしく、スティーリー・ダンのプロデューサー:ゲイリー・カッツや当時のワーナー首脳レニー・ワロンカーにデモ音源が認められてデビューに至ったらしい。

プロデューサーのリチャード・サンフォード・オルショフは、70年代初頭からジェイムス・テイラーやジャクソン・ブラウン、ポコらのエンジニアを務める人。ジャクソンのデビュー作はまさにこの人の制作で、後にはジョン・ホール・バンドも手掛けている。そうした人脈と年代を考え合わせると、本作のおおよその音の傾向が判断できるだろう。つまりベースは、ウエストコースト系のシンガー・ソングライター・アルバム。でもクレイグ自身がアレンジに凝っていて、AOR寄りのドラマ性が随所に仕掛けられている。特にプラネットPでも注目されたトニー・ケイのシンセが音を分厚くしていて。

ヒット曲や明確な個性こそ欠くけれど、産業ロック系は基本バンド編成が多いので、こうしたタイプのシンガー・ソングライターは案外貴重といえるかも。ブライアン・アダムスなどに比べると、程よくマニアック、なんだよな。日本のAOR感覚とは大きく違って、メロディアス・ロック系を多くラインアップするSunset Dream Recordsにあっては、初回リリースのボビー・マーティンと並んで結構コチラ寄りのアイテム。CDとヴァイナル抱き合わせには賛否あるけど、所詮世界で1000枚限定。あるうちに買うときや!、という話です。裏ジャケで、パズルが上手く完成させられずにブチ切れてる構図もナイス