vintage trouble 015
イヤぁ、こりゃースゲェもん観ちまったな ゴールデンウィーク進行も絡んできている中、セッセと足を運んだのは、ヴィンテージ・トラブル@Billboard Live Tokyo 2nd Show。スティーリー・ダンのこけら落とし以来約12年近く、仕事で、あるいはプライヴェートで足繁く通っているライヴ・レストランだが、カナザワがココで観たライヴの中で、もしかしたら一番熱く燃え上がったショーなのでは?と思っている。確かに事前に「ライヴがスゴイ!」とは聞いていたけど、それぐらい口アングリの熱血パフォーマンスだった。

L.A.で2010年に結成された4人組ながら、英国で人気を博し、2012年に全米デビュー。ローリング・ストーンズやザ・フー、AC/DC、レニー・クラヴィッツらのオープニング・アクトを務め、ブルーノート・レーベルのトップ:ドン・ウォズに見初められ、同レーベル初のロック・バンドとなった。上掲がそのメジャー・デビュー作『1 HOPEFUL RD.(華麗なるトラブル)』(2015年)。日本にはサマー・ソニック2012で来日し、メジャー・デビュー後にホール・ツアーを行なって話題沸騰。東京・大阪で開催される今公演は、日本で初めてのクラブ・ギグだった。

もうとにかく、ド頭からエナジー全開の灼熱ロックン・ソウル・ショー。メンバーはレギュラー4人にキーボード/ヴォーカルのサポート(黒人)を入れた5人編成だ。その5人がギミックのない超ド級にストレートなロックン・ロールをブチかまし、そこに黒人シンガー:タイ・テイラーのエネルギッシュなヴォーカルが乗る。全員が細身のスーツに身を包み、タイのマイクは弁当箱みたいなレトロ・スタイル。その出で立ちが何処かモッズ的でもあり、なるほど先に英国で火がついたのがよく分かる。妙な喩えだけど、ポール・ウェラーがいたザ・ジャムとハンブル・パイが一緒になって、そこにオーティス・レディングが降りてきた、みたいな… 米国勢では、先頃リーダーが亡くなったJ.ガイルズ・バンドのスタイルに近いかな。

オーディエンスも最初から飛ばし気味で、ステージ・フロアはもう1曲目にしてスタンディング。自分はポジションが悪かったか、PAアウトのバランスが今イチで、タイのヴォーカルが演奏に埋もれがちだったのが残念だ。それでも激しく動き回りながら、感情の昂りをダイレクトにブツけているのがハッキリ伝わってくるから、半ば強引にグイグイ引き込まれる。興が乗ったタイも客のテーブルの上を渡り歩き、ステージ・フロアの中央で超満員に膨れ上がったヴェニューを完全掌握。そして後半は、ワイアレス・マイクでヴェニュー内を風の如く走り抜け(これをやる人は時々いる)、終いにゃ4階席カウンターの上に飛び乗って、4階上層〜5階カジュアル席のオーディエンスに向けて猛アピール。足を踏み外して転落でもしたら大惨事になる危険行為で、コレをやっちゃう人は初めて観た。でもこの時、まさに場内はひとつになっていたな

アドリブ・ソロらしいソロは、ラストのスロウ・チューンでの長尺ギター・ソロのみ。あとは延々小気味良いグルーヴで煽り立てる熱血漢な大迫力ステージ。全員がコーラスを取れるのも強みだ。典型的なライヴ・バンドで、ロックとソウルのスピリットを無理なく共存させる一方で、先に英国で勝負に出た したたかさも持っている。早くも次の来日が楽しみになってきた。