sheldon reynolds
元アース・ウインド&ファイアーのギタリスト:シェルドン・レイノルズの、待望の初ソロ・アルバムが間もなくリリース。これまでリーダー・プロジェクトでアルバムを出したことはあったが、自分の名前を掲げた作品はコレが初めてとなる。彼がアース・ウインド&ファイアーに加入したのは、解散状態だった彼らが再集結した復活アルバム『TOUCH THE WORLD』(87年)のこと。それから約14年に渡ってアースに籍を置き、スタジオ・アルバム4作、ライヴ盤1作をリリース。93年の人気作『MILLENNIUM』所収でグラミーにノミネートされた<Sunday Morning>は、モーリスとシェルドンの共作曲だった。

シェルドンは1959年、オハイオ生まれ。出身地がらオハイオ・プレイヤーズやザップらの影響は大きく、一部メンバーとは友達として、あるいは良きライバルとして、一緒に成長したという。本格的なプロ・キャリアのスタートは、デイトンを拠点に活動していた大型ファンク・バンド:サンへの加入(80年)。そこで3枚のアルバムに参加したあと、コモドアーズに移って約4年。86年作『UNITE』にシェルドンのクレジットがあった。 

アース脱退後は、ジミ・ヘンドリックスの音源管理団体 “エクスペリエンス・ヘンドリックス”での活動に力を入れ、エリック・クラプトンやサンタナ、プリンス、レニー・クラヴィッツ、スティング、チャカ・カーン、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、ジョージ・クリントン、ブーツィー・コリンズ、そしてアースと、錚々たる顔ぶれのジミ・トリビュート作『POWER OF SOUL』(04年)をプロデュース。そこに参加しているユニット:デヴォーテッド・スピリッツを組んだ。このユニットは、ラリー・ダン、モーリス・プレジャー、そしてシェルドンというアース・ファミリー3人で組んだもので、04年に全曲アース・カヴァーで固めた『TRIBUTE TO EARTH WIND & FIRE』を発表。07年にはシェルドンのオリジナルを中心に構成した2nd『THE ANSWER』を出している。

で、この初ソロ作。収録曲は以前から書き溜めていたマテリアルと、このソロ向けに新たに書き下ろしたマテリアルが混在。<Sunday Morning>のセルフ・カヴァー、アースの定番曲でシェルドンも数えきれないくらいプレイしたであろう<Sing a Song>のカヴァー、そしてモーリス・ホワイトと共作した新曲<It Is Love>あたりが、まず目玉。ベイビーフェイスを髣髴させるアコースティック・ミディアムの好曲<Your Day>は、デヴォーテッド・スピリッツ2nd収録ヴァージョンのリミックス版になる。やはりアース流儀が漂う<Can’t Get Enough>、甘美なアコースティック・バラード<My Sweet Lady>も魅力的。色香を漂わせつつスムーズ・ジャズ風に聴かせる<Date Night>は、息子ブライス・ベイツとの共演曲だ。インタルードを交えた作風といい、ジャケや邦題『慈愛の早暁』といい、如何にも小型アースの趣き。実際<Sing a Song>には、アースのホーン隊が参加していたりもする。

現在は、よりによってモーリスと同じパーキンソン病を発病し、もう自らステージに立つことはできないらしいシェルドンだが、その分こうしてスタジオ・ワークや、アースのトリビュート・ツアー・ショウ『KALIMBA』のディレクターとして、活動意欲が衰えていないところを見せている。