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facebookではご案内していたが、日曜朝のbay FM『TERUMI de SUNDAY』のコーナー“Music Delivery”に電話で生出演し、“夏に向かう季節に聞きたいとっておきのAOR” をご紹介した。クリストファー・クロスとかボズ・スキャッグスほどメジャーじゃないところで、というディレクター氏のリクエストがあり、かといってワイドショーだからマニアック過ぎないところで、と、選んだのはラリー・リーとネッド・ドヒニー。

AOR好きにはド定番でも、一般音楽ファンには「誰、これ!?」と思わせるあたりが狙い。曲はラリー・リーが<Don't Talk>、ネッドは好みで<Sing To Me>を。

ところで本番中、パーソナリティの吉田照美さんが、「AOR=オーディオ・オリエンテッド・ロック」と説明する瞬間があって、思わず “日本じゃアダルト・オリエンテッド・ロック が一般的です” とコメントしてしまった。最近このように紹介されることが徐々に増えているが、これはウィキペディアが誤解を招く説明をしているからである。

〜ちょい引用〜 出典:ウィキペディアのAOR説明

AORとは、(1)Audio-Oriented Rock(オーディオ・オリエンテッド・ロック)、 (2)Album-Oriented Rock(アルバム・オリエンテッド・ロック)、または、 (3)Adult-Oriented Rock(アダルト・オリエンテッド・ロック)の略語であり、音楽のジャンルの一つである。
(中略)
以上から「AOR」をまとめると、
音を重視するのが、Audio-Oriented Rock(主に1970年半ば-1980年代)。
アルバム全体としての完成度を重視するのが、Album-Oriented Rock(主に1980年-1990年代)。
アダルト現代音楽は、Adult Contemporary(AC)(1980年代以降)。
近年はAdult Contemporaryの語を除いて、どれも使われなくなってきている。


〜〜引用ココまで〜


まったく、ふざけんな!! である。

確かにアルバム・オリエンテッド・ロックという解釈は当時からあって、日米間の差とも説明されてきたが、オーディオ・オリエンテッド・ロックという読み解きは、日本じゃほとんど語られてこなかった。日本でAOR専門家として名が通っている自分でさえ、最近までほとんど聞いたことがなかった(初耳ではないが…)。そういう変な解釈が、ウィキペディアのイイ加減な説明で急浮上してきているのだ。まったく何処から資料を引っ張ってきたのだろうか。3つの解釈を併載するにしても、1), 2), 3) の順がまるで逆さまである。

かねてからデータの信憑性に疑問がつくウィキペディア。自分も頻繁に利用するし、データとして扱う際は必ずウラを取るよう心掛けているが、それをすぐ鵜呑みにして、情報として一人歩きさせてしまうケースが少なくない。そうやって間違った情報が拡散してしまうのだ。
我々スペシャリストがそれぞれの分野でやるべきコト、やらねばならないコトは、まだまだ多そうである。

ちなみにこの “Music Delivery” の電話出演。春から始まった照美さんの番組で、邦洋AORを同時に語れる人を捜していたらしく、“この人しかいない” と白羽の矢を立てて戴いたとのこと。ホンの短い枠ですが、これから数週間に1度くらいのペースでセミ・レギュラー化しそうです。

bay FM『 TERUMI de SUNDAY』