saeko inuzuka

今日は、いまカナザワが制作に関わっている今井優子のレコーディングに参加してくれた、ブラジリアン・ミュージックの実力派シンガー・ソングライター:犬塚彩子(さえこ)さんのライヴ@南青山ZIMAZINE。シート数40席あまりの小さなジャズ系ライヴ・バーだが、とても雰囲気が良くて、心和むスポット。昨年4月に外苑前から骨董通りに移転してきたそうだが、Bluenote Tokyoへの道すがらに、こんな所があるとは知らなんだ。

彩子さんはこれまでに7枚ものアルバムを出してるキャリアの持ち主で、本場ブラジルでのレコーディングも経験。“小野リサ以来の本格的ボサノヴァ・シンガー” との呼び声もある。今回は、今井優子の新作で数曲アレンジをお願いしている安部潤(kyd)さんが、彩子さんのアルバムでもサウンド・プロデューサーを務めている関係から、優子嬢が書き下ろしたボッサ曲に絶品のガット・ギターを入れて戴いた。

そしてこの日は、彩子さんにとって、なんと15年ぶりのバンド・ライヴとか。普段はピアノとのレギュラー・コンビやユニット形式で歌うことが多いらしく、今回は安部さん(kyd)、田中晋吾(b)、高田真(ds)に、ゲストの三井大生(violin)という編成で、しなやかに、優しくホンワカとした空間を創り出した。ボサノヴァ系の歌い手さんの声って、ボソボソと囁くように歌うのに、発声方法が違うのか、バンドでも何故かシッカリ声が通るんだよな。

レパートリーは、定番ジョビンの<イパネマの娘>、<One Note Samba>、<Desafinado>や<ケ・セラセラ>のカヴァーに、彼女自身のオリジナルを多数交えて。でも名曲中の名曲たちに混ざっても、自作曲が決して埋もれない。ただ心地良さを演出するのではなく、甘美な音にも凛とした主張がある。

ブラジル物に関しては、実はあまり積極的に聴いてこなかったカナザワ。でもそれには理由があって…。凝り性の性格ゆえ、一度ハマってしまうと自分が納得するまで止められなくなるので、何かと盤の入手が難しいブラジル物はずーっと敬遠してきたのだ。セルジオ・メンデス、イヴァン・リンス、マルコス・ヴァーリ、ジョビン、カエターノ、ジャヴァン、ミルトン・ナシメント、トッキーニョなど、例外的に聴いてきた人はいるけど、ココ数年の廉価再発で慌てて買い集めているクチ。彩子さんの素敵な歌声を聴きながら、こちら系はもっと勉強せんとアカンなぁ…、と考えている自分がいた。

あぁ、耳と身体が4人分くらい欲しいです…