burnier & cartier

久々にMPBモノを。このブルニエール&カルチェールは、かのルイス・ボンファの甥で、作曲家として数多くのブラジル大物アーティストに楽曲を提供してきたオクタヴィオ・ブルニエールと、イラストレイター/デザイナーとしても活動しているクラウヂオ・カルチエールから成るデュオ・ユニット。兄弟説もあるらしいが、ブラジル音楽門外漢のカナザワに詳細は分からない。でも74年発表のこのアルバムが、2人にとっての処女作だったらしく…。いすれにせよ、隠れ名盤であるコトは確かだ。

朝陽を浴びているキラキラ感を捉えたジャケット通り、瑞々しくフレッシュな爽快感を運んでくれる一枚。自然に耳に入ってくる和やかなメロディ、ふんわり浮遊感のあるハーモニー、そして何よりオーガニックなアコースティック・サウンドが、とてもフレッシュな一瞬をもたらす。AORフリークなら、アートワークの印象からブラウンスミスを思い出す人もいるだろう。実際このブルニエール&カルチェールのサウンドは、ブラウンスミスに近い。ほのかなジャズ・テイストとライトなグルーヴが共通言語で、ブラジル音楽ファンのみならず、ソフト・ロックやAORファンも楽しめる。

どうやら02年に一度CD化されているらしいが、当時はまったく知らないままで、今回の紙ジャケ・リイシューで初邂逅。演奏陣にはアジムスやタンバ4のメンバーもいる。<Aventura Espacial>のみ、ルイス・ボンファ作。それ以外はいずれもブルニエールとカルチエールどちらかの単独作か、あるいは2人の共作になっている。いずれもベタつきを排した清涼感のあるメロディが特徴的だ。

知る人ぞ知る70年代MPBの伝説的名盤、という触れ込みだけど、そんなに大層なモノではない。それこそ、日々の暮らしの中でこそ効果を発揮しそうな、そんな軽い心地良さなのだ。