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まりやの40周年記念リマスター・プロジェクト第3弾の『LOVE SONGS』。通常こういう復刻プロジェクトは、数枚まとめて一度にドカンと大きく打ち上げるのがパターンだが、まりやさんのはRCA期の5作を毎月1枚づつリイシューしている。これだとリスナーの財布には優しいし、プロモーションも長〜くていねいにできるが、その分 宣伝費は膨大に膨らむ。やっぱり まりやさんだからこそできる壮大な記念プロジェクトだ。

アルバムそのものについては、今更説明の必要もないほどだけど、シティ・ポップ復興ブームに、海外で湧き上がった<Plastic Love>熱もあって、今が旬というか、RCA期のまりや再考には絶好のタイミング。だとすれば<September>と<不思議なピーチパイ>という2大ヒット曲を収録したコレは、若い世代や まりや初級者にも、初期代表作として更に広く伝播しつつあるのは明白だ。

かくいう自分も、今回のリマスター盤で、久々に『LOVE SONGS』を聴いた。ヒット・アルバムのイメージが強かったせいか、ここ20〜30年、RCA期のアルバムで一番聴く回数が少なかった気がする。収録曲11曲中5曲がL.A.録音。ラス・カンケル(ds)やリー・スクラー(b)の参加、アレンジがジーン・ペイジだったのは記憶にあるけど、鍵盤がデヴィッド・ベノワだったり、若き日のポール・ジャクソンJr.(g)もセッション参加していたのは、記憶から完全に飛んでいたよ。

<不思議なピーチパイ>が加藤和彦・安井かずみ夫妻のペン、<September>は林哲司の楽曲に松本隆が歌詞を乗せた、というのも、よく知られるところ。林・松本コンビはもう1曲、ハチロクのバラード<象牙海岸>を提供している。まりや自身が3曲書き下ろし、ソングライターとしての自覚が強くなったきたことを窺わせているが、やはりこのアルバムは、他の作家陣の豪華さの方に気を引かれてしまうのも事実。スタートからして、キャロル・ベイヤー・セイガーとピーター・アレンが提供した<Fly Away>だし、まりやと山下達郎の初共作<さよならの夜明け>、大学のサークルの先輩:杉真理に書いてもらった<磁気嵐>、他大生ながら音楽仲間として交流のあった安部恭弘<五線紙>、そしてレーベルメイト浜田(濱田)金吾の<Lonely Wind>と、まさに華やか。でもその作家陣が、“売るため一流どころに発注”されたのではなく、学生時代からこのアルバム制作に至る流れの中で、無理なく自然に集まっていたこと、そこに竹内まりやが持っていた磁場の強さを感じる。そしてそれが最も端的に表れた作品が、この『LOVE SONGS』なのだ。

記念盤のボーナス・トラックは、81年に行われた夏と冬のツアーからのライヴ音源5曲。メンバー・クレジットはないが、この頃はセンチメンタル・シティ・ロマンスをベースにした編成なのかな? 自分が初めてまりやサンのライヴを観たのも、この頃のツアーの埼玉公演だったなぁ、なんてことを思い出したりも。