2019年版TOTO@日本武道館、結構な お席で観てきました。17回目のジャパン・ツアーというから、自分も10回以上観ていることになるけれど、前から数列目でTOTOのステージに接するのはサスガに初めて。武道館はステージが高いから、前過ぎるとステージの後ろ半分が見えなかったりするので、これはちょうど良い案配。チケットも Sold Out で、急遽追加席が当日券として出たくらいで、最上階の上までパンパンに膨らんでいた。オーディエンスは当然イイ歳の方々が中心ながら、定刻を過ぎてからは、客入れBGMが終わるたびに拍手が沸き上がるほどの熱気に包まれている。エルダー・リスナーはライヴ慣れしているから、結構クールにスタートを待つ傾向が強いので、TOTOファンはそれだけ熱い期待を寄せているのだ。(以下ネタバレあり)
約5分押しで場内暗転。新作『OLD IS NEW』からの新曲<Devil's Tower>で2時間超のステージがスタートした。デヴィッド・ペイチのトラであるゼヴィアは、ざんばら髪が印象的な黒人プレイヤーで、ピアノもデジタル対応。グランドやアップ・ライトなど生ピアノを配置するペイチと違って箱モノはなく、すべて2段重ねの鍵盤で見た目にもスッキリしていた。
基本的なステージ構成は、先日映像でリリースされた40周年記念ツアー前半をシュートした『40 TOURS AROUND THE SUN』から大きな変化はない。ペイチ不在で落とさざるを得なかった楽曲があったものの、代わりに<I'll Be Over You>が入ったから文句は言うまい。ペイチのヴォーカル部分は、ジョセフ・ウィリアムスが歌ったり、サックス/コーラスでサポートするウォーレン・ハムがちょっとフロントに出たりで、こちらもつつがなく。ゼヴィアはかなりの腕前の鍵盤奏者で、かなりカッ飛んだアドリブを披露。プリンスやスナーキー・パピーとプレイしてきたと言うだけあり、単にプレイヤーとしてみるなら、ペイチよりスキルフルで演奏上の不安材料は微塵もなかった。でもペイチの場合は、彼ならではの存在感、ユーモラスな和ませキャラでもあるため、やはり不在はイタイところである。
今回の少々ヒネったセットリストについては、『40 TOURS AROUND THE SUN』のライヴ映像を紹介したこちらのポストでも触れた通り。久々にTOTOライヴに足を運んだ皆さんにとっては、ちょっと意外に思えたかもしれない。個人的には、オリジナル期〜中期の比較的地味な楽曲<English Eyes>や<Lion>、<Make Believe>を歌ってくれたのが嬉しく。 <Georgy Porgy>が中盤のアコースティック・セット "Storytellers" に組み込まれたのは悔しかったが、スティーヴ・ポーカロ作としてお馴染み<Human Nature>をナマで聴けたのはラッキーだった。招聘元UDOのサイトでは、ジャパン・ツアー初日の広島公演の模様がアップされているので、ご参照あれ(セットリストも同じ)。
SNS では、ごく一部に「ガッカリ…。以前よりルークにキレがなくなった。TOTOはルカサー・バンドでイイのに…」なんて意見も散見。でもコレは少数意見だろう。酒もクスリも断ってクリーンになったルークだから、手癖のまま好き勝手に弾きまくるのではなく、バランスやプレイの組み立てに気を配るようになった。でもそれはスティーヴ・ポーカロが復帰したり、ドラムがサイモン・フィリップスからジェフ・フォロワーのシャノン・フォレストにスイッチしたこととの相互作用で、TOTOが本来あるべき姿に戻りつつある証しである。自分のコトはソロでもセッションでも可能なポジションにいるルークだから、TOTOをルカサー・バンドに仕立てる意味は薄いと思うのだ。
そうした目線で見れば、誰よりもハイトーンで歌えるベースのシェム・ヴォン・シュロックのサポート参加は心強いし、見た目地味なウォーレン・ハムの貢献も小さくない。もちろん、準メンバー的存在のレニー・カストロも。衣装のせいか、去年のツアー時より少しシュッとして見えたジョセフだが、前任者と違ってヴォーカルは安心して聴いていられる。ペイチ不在の<Africa>では、ペイチのヴォーカル・パートを彼の声色で歌う茶目っ気も。結果的にコーラス隊不要でバンドとしての一体感が増したことも、今ツアーでのTOTOの特徴になった。
今回のセットリストは以下の通り。パーカッション・ソロと、オーディエンスとのコール&レスポンスを含む<Africa>で本編終了。アンコールでは<Home Of The Brave>。
これまで自分が観たTOTOというのは、今はなき新宿厚生年金ホールで観た初来日時の Hydra Tour が、生涯トップ10に入るライヴ名演として瞼に焼き付いている。バック・ステージで初めて会ったスティーヴ・ポーカロに、「初来日時から観ています」と伝えたところ、「長い間サポートしてくれてありがとう」と丁寧にお礼を言われた。ま、当時はまだ学生で、単なるオーディンスだったが… その次に感激したのが、マイク・ポーカロ参加直後の2度目のジャパン・ツアーだが、今回はペイチ不在を差し引いてもも、それに匹敵する満足感があった(褒めすぎ…?)。とにかく、グループ内にポジティヴな空気が流れているのが伝わってくるのが、何より嬉しい。残り約1週間、きっと彼らは元気に日本中を飛び回ってくれることだろう。
みんなでtotoの楽曲プレイして楽しんでます的な感触でした。jake to はさすがに四人中三人がいないでの演奏ので、ちょっと感じるところあり。いずれにしてもルカサーさんの皆勤賞、素晴らしいです!