alvin lee _myron

外出自粛、頑張られてますか? 前にも書いたように、自分の場合は幸か不幸か、コロナが流行らなくても執筆で缶詰になるタイミングだったので、自ずと自宅蟄居中。元々インドア派で、目的がなければ外出しないタイプなので、特にストレスなく "家で踊れる" 人なのだが、それでも普段通っているスポーツ・クラブや、マシン・ジムのある近所のコミュニティ・センターが閉鎖中。なので、代わりに外へウォーキングに出るようになった。すると我が家は郊外なので、歩いて10分くらいで 菜の花満開の河川の土手とか、上掲のような だだっ広い自然公園に行ける。さすがに田舎なので、TVに出ている都内の著名公園のような人出はなく安心。それでも駐車場は6〜7割埋まっていてビックリ。ランニングやら散歩やら、あるいはサイクリングをしている方々も、普段より全然多いみたいだ。

そんな事情でこのアルバムを思い出して取り出したワケではないのだが、兎にも角にもアルヴィン・リー。英国ハード・ロック・ファンには、言うまでもなくテン・イヤーズ・アフター(TYA)の早弾きギタリストとして知られる。でもそのハード路線が煮詰まってきた時に、レッド・ツェッペリンよろしくアコースティック路線を導入。アルヴィン自身ジョージ・ハリスンやエリック・クラプトンの動向に感化されたか、特に米南部のスワンプ・ミュージックに傾倒していった。

そこで知り合ったのがマイロン・ルフェーブル。これで一気に知名度を上げたが、実は60年代からゴスペルのファミリー・グループで活躍していたシンガー・ソングライターである。そもそもアルヴィンは、バンド内紛が顕著になっていたTYAを離れてソロ・アルバムを作ることを望んでいたが、マネージメントがハード・ロックのイメージが崩れてしまうことを嫌い、その方策として共演アルバム案が浮上したという裏事情があったらしい。

…とはいえそこは、当時大人気だったアルヴィン・リーの初めての課外活動。参加ミュージシャンは超豪華で、トラフィックからスティーヴ・ウィンウッドやジム・キャパルディ、フェイセズからロン・ウッド、フリートウッド・マックのミック・フリートウッド、分裂したキング・クリムゾンからイアン・ウォースとボズ・バレル、更にマイク・パトゥ(cho)やティム・ヒンクリー(kyd)が参加している。楽曲は基本的にアルヴィンとマイロンの共作、もしくは持ち寄りで、ロン・ウッドも1曲提供。そしてなんと、ジョージ・ハリスンが<So Sad>を書き、ハリ・ジョージソンなる偽名でギターを弾いている。この曲はジョージの『DARK HORSE』(74年)でセルフ・ヴァージョンが発表されるが、初出はコチラ。そのお礼だろう、アルヴィンは『DARK HORSE』にゲスト参加していた。

方向的にはアルヴィンの曲がロック寄りなのに対し、マイロンの曲はフォーキー。ワルツの<We Will Shine>、それにウーリツァーがゆるり転がる<Carry My Load>あたりが、プレAOR的なメロウ・フォークとして美味しい。もちろん73年作なので、それほどのソフィスティケイトは期待できないが、この後のアルヴィンがココモやグリース・バンド周辺と組んでソウル系パブ人脈とのファンキー路線に進むのだから、やはり興味は尽きないな。