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コロナにメゲずこの29日に P-VINE ×【Light Mellow Searches】から発売されるのは、CRAC(クラック)の『ALL FOR YOU』。去年の暮れに、UKのKing Undrground というインディ・レーベルが発掘したネタをゲットしたところ、かなり良かったので、日本にもシッカリ紹介したい!と思って動き、首尾よく実現。 P-VINEも頑張ってくれて、別売りシングルをボーナス収録した上に、シッカリした作りの紙ジャケ仕様で大満足となった。まずはその時をポストをコチラ から。

前回ポストと多少内容はかぶるけれど、改めて紹介しておくと。

このCRACは、74年にニューヨーク州中央に位置するシラキュースで4人組として結成された。創設メンバーは、ベース兼シンガーのリック・クーア、ドラムのトミー・ロッザーノ、キーボードのラリー・アーロッタ、リード・シンガー/パーカッションのリッキー・シショルムの4人で、バンド名は彼らの頭文字を連ねたもの。その後ニューヨークの中心に進出し、カヴァー・バンドから脱却してオリジナル楽曲をプレイするように。メンバーも増えて、ギターのロナルド・ディローロ、シンガー/パーカッションのデュアン・ウォーカーらを加え、白黒混成のファンク/ R&Bバンドとして人気を確立していった。

その後もメンバーは増え続け、何人かはCRACと並行して著名ミュージシャンのサポートなどを行なうように。中心メンバー以外は、半ばプロジェクトのように、その時々で集まれる顔ぶれでライヴを行なっていたようだ。実際、このワン&オンリー作が出された80年頃は、リック・クーアがフロリダで結成されたサザン・ロック・バンドのアウトロウズに、マット・グリーリー(perc,vo)がチャック・リーヴェル(オールマン・ブラザーズ・バンド/現在はローリング・ストーンズのサポート・メンバー)率いるシー・レヴェルに、デヴィッド・コーコラン(ds)が隣町ロチェスターで結成されたデューク・デュピターに参加。他にもジャズ・トランペット奏者メイナード・ファーガソン、ソウル/ディスコ・シンガーのメルバ・ムーアのツアー・バンドに参加したメンバーがいたらしい。つまりこの『ALL FOR YOU』は、バンド・デビューのアルバムというよりも、言わばグループの発展的解散が前提の記念碑的作品だったと思われる。

実際このアルバムは、せーの、でレコーディングされたワケではなく、それなりの期間を間にコツコツと撮り溜めていったモノらしい。だからメンバー構成に3〜4パターンあって、プロデューサーも複数いるし、方向性もビミョーに異なっている。そのプロデュース陣の一人は、イーグルスやJ.ガイルズ・バンド、ジョニー&エドガーのウィンター・ファミリー、REOスピードワゴン、ジェイムズ・ギャング、エルヴィン・ビショップなど多くの仕事をこなしてきたエンジニア/プロデューサーのアラン・ブレイゼック。また70’sフュージョン・ファンには、ボブ・ジェームスのブレーンとして忘れ難い御仁、ジェイ・チャタウェイのプロデュース楽曲もある。大雑把にいうと、結成当時はブルー・アイド・ソウル〜シティ・ソウル路線を歩んだが、途中参加ギターのディローロがラテンやジャズ・エッセンスを持ち込んでクロスオーヴァー化した、という流れ。

白眉はオープニング・チューン<You're Everything To Me>で、しなやかな16ビートに乗ってマイルドなヴォーカル&コーラス、ジャジーなギター・ソロからエレキ・ピアノへと展開していく。<I Don't Wanna Hear It>は一番AORしたトラックで、哀愁味のあるメロディ・ラインとほんのり甘酸っぱいヴォーカルがイイ感じ。またタイトル曲はルバートからイン・テンポになり、何処かシャカタクを思い出させるマイナー系の美メロ・ナンバー。しかし中盤からは演奏メインのフォーマットになって、終盤は16ビートへとドラマチックな展開を見せる。

解散後、クーアはアウトローズで2枚のアルバムを出した後、CCM (コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック)に転向。82年にソロ・デビューし、10枚以上のソロ・アルバムを発表して着実にキャリアを積み上げた。ただしスタイルは如何にも80年代的なアリーナ・ロック。実はそちらを知っていたので、この時期の彼がこんなにゴキゲンなメロウ・グルーヴを演っていたことにビックリ。

いやいや、こういうのがで出てくるからレコ掘りは面白いのヨ。



(You're Everything To Me)