⼭下達郎、初めてのライブ・パフォーマンス動画配信『TATSURO YAMASHITA SUPER STREAMING』を拝聴。これは新たにサービスを始めた、 MUSIC/SLASH(ミュージックスラッシュ)のこけら落としでもあって。このコロナ禍で配信プラットフォームが次々に立ち上がっているが、ココは動画配信事業におけるチケット販売・制作サポート・配信・収益化・著作権管理までをワンストップで実現する“トータルソリューションサービス”なのだとか。達郎ツアーで映像のステージ演出を担当する映像ディレクターが立ち上げた会社だけあって、達郎氏の考えをよく知り、そのお眼鏡にかなうレヴェルの音質・画質とセキュリティーを実現させた。
個人的には、デスクトップのMACに繋いでいる2.1chのスピーカー・システムが配信前々日にお亡くなりになり、慌ててネット通販を覗いたり、量販店へ物色に行くも、お目当機種はテレワーク需要からか売り切れで入荷未定。仕方なく、すぐに手に入る後継機種(従来と同等機種)をオーダーして、配信スタート少し前にようやく接続完了。ドタバタでログインしたら、いつのもライヴのようにオールディーズの客入れBGMが流れ、影アナまで入る周到さ。アーカイヴなし、達郎氏コダワリのストリーミング一発勝負ということで、スタッフ決死?の覚悟を強く感じた(その詳細はこちらで) 確かにココまでいつも通りの生ライヴのフォーマットにこだわられると、苦笑するしかないな
それでも、先日の角松配信ライヴで角松当人が話していたように、演る側・観る側の間に介在するサーバーやネット環境などの理由で、途中で切れたりか固まったりする可能性はゼロではない。MUSIC/SLASHもその際はリロードと謳っていたが、一回勝負でリロード対応というのはどうよ? そのためMUSIC/SLASHは推奨環境を厳しくし、なおかつ早めにチケット販売を切り上げてヴューワー数把握に務めたワケだが、それをしたって事故は起こり得る。アーカイブはオンタイムで見られなかった人や繰り返し見たい人へのファン・サーヴィスではなく、実際は保険なのだ、という角松の説明は、大いに納得できるモノだった。まぁ達郎さんだって、仮に何か大きなトラブルが発生したら、アーカイブの再配信は考えるのだろうが。でもそうした一回限りの張り詰めた空気が、多くのリスナーたちに、ライヴ会場へ足を運ぶのにも似た昂揚感、ワクワクする気持ちを煽ったのも事実だ。
さて、2ベルが鳴って、いよいよライヴ・スタート。前半は城東トリオこと達郎・難波弘之(kyd)・伊藤広規(b)による、18年3月のアコースティック・ライヴ@京都・拾得。そして後半は17年9月の氣志團万博@千葉県・袖ケ浦海浜公園の模様から。どちらも普段のツアーとは中身が違う、かなりレアな映像。ライヴ・ハウス・ツアーは恒例化しているとはいえ、チケット競争率は異様に高く、観られる確率は相当に低い。そこへ来て、鈴木茂やマーヴィン・ゲイという珍なカヴァーもあり、選曲の巧さに唸らされる。アコースティック編成だからか、<あまく危険な香り>や<What's Going On>など、ほのかなノーザン・ソウル・テイストも感じられるな。きっと<What's Going On>には、今の氏の静かなメッセージも含まれているのだろう。
氣志團万博は、それこそ客層が異なる夏フェス舞台。持ち時間が少な目なのにも関わらずジャニーズ楽曲を優先させたのは、そういうジェネレーション対応だろう。雨模様を理由に急遽セットリストを変え、ノリの良い曲を集めたのも、達郎さんらしい判断。それにすぐ対応できるのは、バンドの総合力の証明だ。しかも終盤は竹内まりやがコーラスに加わるという超絶嬉しい反則ワザ
そしてラストは唯一のバラード<さよなら夏の日 >で締め、と思いきや、予定時間を過ぎてのアンコール? まずはアカペラの<So Much In Love>@郡山市民文化センター(86年10月)。いきなりロン毛の若き日の達郎氏登場に心躍る。更に同じ 86年ツアーの7月・中野サンプラザ公演から<プラスティック・ラブ>。ドラムは故・青山純。コーラスにも村田和人、CINDYと物故者2人。ベースの伊藤広規以外はガラリとメンバーが違っている。好みの問題だけど、80年代のバンド・フォーマットの方が、よりライヴ感マシマシでアグレッシヴな演奏だったな。もちろんメンバーの問題ではなく、氏自身が勢いやグルーヴよりも、そういう完成度の高いサウンドを求めるようになった、というコトだろう。
いずれにせよ、ナマであれストリーミングであれ、達郎さんのパフォーマンスはやっぱりスゴイと実感 ただ結局のところは、ライヴに向かう際の考え方、ストリーミング対応の方法も、今現在の山下達郎のスタンスを投影しているワケだ。角松はわざわざライヴ映像を新たに収録し、それを初回は本人チャット参加でストリーミング配信、翌日から限定アーカイヴに公開した。対して達郎氏は、最近撮られたスペシャル・ライヴの映像を編集して配信。しかしのその音質にはトコトンこだわリ、現時点で国内トップ・クラスのライヴ・ストリーミングを実現させた。これは、どちらかに優劣をつけるものではなく、アーティスト各々の考え方の違い。要は各リスナーが、支払った金額に見合うクオリティのモノが提供されたと納得してくれるならば、それで済む話である。ただ個人的な感想とすれば、達郎さんがこだわったストリーミング環境は、普通の音楽ファンにはハードルが高すぎて、それを備えているのはごく一部に止まる、ということ。でも、だから実践しなくてイイ、のではない。誰かが高みを目指さして進めないと、ヤマは動かないのだ。そしてそれを促したのが感染拡大だとすると、コロナの影響のすべてが悪いコトばかりではなかった、と思える。イヤ、そう思わなきゃ前向きになれないよな。
でもコレが成功したからといって、氏がライヴ映像作品を出すようになる可能性は低い。あくまでライヴ活動再開までの限定対応が建前だ。そもそも、出る出る、と言われている『JOY 2』も未だ具体化していないし…。とはいえ、先の劇場ライヴと合わせて、チケットをゲットして生を観るのがより困難になりつつある達郎ライヴにおいて、またひとつ選択肢が増えたと言えるのではないか。
[Setlist]
【京都「拾得」 2018年3月17日】
1. ターナーの汽罐車
2. あまく危険な香り
3. 砂の女
4. 希望という名の光
5. SINCE I FELL FOR YOU
6. WHAT’S GOING ON
【氣志團万博 2017年9月17日】
7. ハイティーン・ブギ
8. SPARKLE
9. BOMBER
10. 硝子の少年
11. アトムの子(※竹内まりやコーラス参加)
12. 恋のブギ・ウギ・トレイン(※竹内まりやコーラス参加)
13. さよなら夏の日
【郡山市民文化センター 1986年10月9日】
14. SO MUCH IN LOVE(アカペラ)
【中野サンプラザホール 1986年7月31日】
15. プラスティック・ラブ
-CLOSING(THAT’S MY DESIRE)-
それでも、先日の角松配信ライヴで角松当人が話していたように、演る側・観る側の間に介在するサーバーやネット環境などの理由で、途中で切れたりか固まったりする可能性はゼロではない。MUSIC/SLASHもその際はリロードと謳っていたが、一回勝負でリロード対応というのはどうよ? そのためMUSIC/SLASHは推奨環境を厳しくし、なおかつ早めにチケット販売を切り上げてヴューワー数把握に務めたワケだが、それをしたって事故は起こり得る。アーカイブはオンタイムで見られなかった人や繰り返し見たい人へのファン・サーヴィスではなく、実際は保険なのだ、という角松の説明は、大いに納得できるモノだった。まぁ達郎さんだって、仮に何か大きなトラブルが発生したら、アーカイブの再配信は考えるのだろうが。でもそうした一回限りの張り詰めた空気が、多くのリスナーたちに、ライヴ会場へ足を運ぶのにも似た昂揚感、ワクワクする気持ちを煽ったのも事実だ。
さて、2ベルが鳴って、いよいよライヴ・スタート。前半は城東トリオこと達郎・難波弘之(kyd)・伊藤広規(b)による、18年3月のアコースティック・ライヴ@京都・拾得。そして後半は17年9月の氣志團万博@千葉県・袖ケ浦海浜公園の模様から。どちらも普段のツアーとは中身が違う、かなりレアな映像。ライヴ・ハウス・ツアーは恒例化しているとはいえ、チケット競争率は異様に高く、観られる確率は相当に低い。そこへ来て、鈴木茂やマーヴィン・ゲイという珍なカヴァーもあり、選曲の巧さに唸らされる。アコースティック編成だからか、<あまく危険な香り>や<What's Going On>など、ほのかなノーザン・ソウル・テイストも感じられるな。きっと<What's Going On>には、今の氏の静かなメッセージも含まれているのだろう。
氣志團万博は、それこそ客層が異なる夏フェス舞台。持ち時間が少な目なのにも関わらずジャニーズ楽曲を優先させたのは、そういうジェネレーション対応だろう。雨模様を理由に急遽セットリストを変え、ノリの良い曲を集めたのも、達郎さんらしい判断。それにすぐ対応できるのは、バンドの総合力の証明だ。しかも終盤は竹内まりやがコーラスに加わるという超絶嬉しい反則ワザ
そしてラストは唯一のバラード<さよなら夏の日 >で締め、と思いきや、予定時間を過ぎてのアンコール? まずはアカペラの<So Much In Love>@郡山市民文化センター(86年10月)。いきなりロン毛の若き日の達郎氏登場に心躍る。更に同じ 86年ツアーの7月・中野サンプラザ公演から<プラスティック・ラブ>。ドラムは故・青山純。コーラスにも村田和人、CINDYと物故者2人。ベースの伊藤広規以外はガラリとメンバーが違っている。好みの問題だけど、80年代のバンド・フォーマットの方が、よりライヴ感マシマシでアグレッシヴな演奏だったな。もちろんメンバーの問題ではなく、氏自身が勢いやグルーヴよりも、そういう完成度の高いサウンドを求めるようになった、というコトだろう。
いずれにせよ、ナマであれストリーミングであれ、達郎さんのパフォーマンスはやっぱりスゴイと実感 ただ結局のところは、ライヴに向かう際の考え方、ストリーミング対応の方法も、今現在の山下達郎のスタンスを投影しているワケだ。角松はわざわざライヴ映像を新たに収録し、それを初回は本人チャット参加でストリーミング配信、翌日から限定アーカイヴに公開した。対して達郎氏は、最近撮られたスペシャル・ライヴの映像を編集して配信。しかしのその音質にはトコトンこだわリ、現時点で国内トップ・クラスのライヴ・ストリーミングを実現させた。これは、どちらかに優劣をつけるものではなく、アーティスト各々の考え方の違い。要は各リスナーが、支払った金額に見合うクオリティのモノが提供されたと納得してくれるならば、それで済む話である。ただ個人的な感想とすれば、達郎さんがこだわったストリーミング環境は、普通の音楽ファンにはハードルが高すぎて、それを備えているのはごく一部に止まる、ということ。でも、だから実践しなくてイイ、のではない。誰かが高みを目指さして進めないと、ヤマは動かないのだ。そしてそれを促したのが感染拡大だとすると、コロナの影響のすべてが悪いコトばかりではなかった、と思える。イヤ、そう思わなきゃ前向きになれないよな。
でもコレが成功したからといって、氏がライヴ映像作品を出すようになる可能性は低い。あくまでライヴ活動再開までの限定対応が建前だ。そもそも、出る出る、と言われている『JOY 2』も未だ具体化していないし…。とはいえ、先の劇場ライヴと合わせて、チケットをゲットして生を観るのがより困難になりつつある達郎ライヴにおいて、またひとつ選択肢が増えたと言えるのではないか。
[Setlist]
【京都「拾得」 2018年3月17日】
1. ターナーの汽罐車
2. あまく危険な香り
3. 砂の女
4. 希望という名の光
5. SINCE I FELL FOR YOU
6. WHAT’S GOING ON
【氣志團万博 2017年9月17日】
7. ハイティーン・ブギ
8. SPARKLE
9. BOMBER
10. 硝子の少年
11. アトムの子(※竹内まりやコーラス参加)
12. 恋のブギ・ウギ・トレイン(※竹内まりやコーラス参加)
13. さよなら夏の日
【郡山市民文化センター 1986年10月9日】
14. SO MUCH IN LOVE(アカペラ)
【中野サンプラザホール 1986年7月31日】
15. プラスティック・ラブ
-CLOSING(THAT’S MY DESIRE)-
テスト動画で音が途切れてました。
ともかく完全に同時進行で
後追い再生も出来ない仕組みとのことで
泣く泣く断念しました。
ですからこーゆーデジタル難民のため
せめてシアターで同時上映とか
今後はお願いできないものかと、愚考。
3密回避状態が明けたなら
とゆー夢想です。