prism_,memorial

ココしばらく、和田アキラ(g)の闘病でライヴ活動から遠ざかっているプリズム。でもオリジナル・アルバムのリイシューは、18年秋に始まった初期作品群の高音質盤シリーズを皮切りに、着々とキャリアをフォローしてきている。ただ個人的にプリズムを熱心に聴いていたのは、和田アキラと渡辺建(b)の創設メンバーに青山純(ds)、中村哲(kyd)の4人時代まで。その後、和田と渡辺の双頭ユニット体制になり、プログレ・フュージョン色を強めたが、アルバムに耳を通しても今イチ楽曲的魅力に乏しく、次第に熱は冷めていった。プリズムに限らずだけど、日本のベテラン・フュージョン系って、どうもイイ頃の自分たちをコピーしているようなのばかりで、ワクワク感が決定的に薄いのよ。

そんなトコロに登場した『MEMORIAL LIVE TRACKS』は、00年代以降に発表された3作のDVD作品、『HOMECOMING 2004』、『HOMECOMING 2007』と 2017年に行われた『40h ANNIVERSARY SPECIAL LIVE』の中からオーディオ・トラックだけを抜き出した、いわゆるベスト・パフォーマンス集。ここ20年のステージ集成だから、コア・メンバーは、和田に木村万作(ds)、岡田治郎(b)の3人に、歴代鍵盤奏者の新澤健一郎や渡辺チェルといった陣容なのだが、そこに森園勝敏(g)、久米大作(kyd)、中村哲(sax)など往年のメンバーがゲスト参加しているから、オールド・ファンには堪らない。オマケにセレクトしている楽曲が、第1期プリズムのアルバム『PRISM』『SECOND THOUGHT / SECOND MOVE』『PRISM-III』に収録されてた和田ナンバーだけ、という徹底ぶりに、オールド・ファンは、ただただ涙が溢れんばかり。

そもそもカナザワは、最近の音楽が本来の魅力を失ってしまった大きな原因のひとつに、ヴィシュアル作品の進化によって、かつて音楽が喚起してくれた創造力/イマジネーションが失われてしまったことが挙げられる、と考えている。だからライヴ作品からこうしてサウンドだけ抜き出し、演奏を質を問う手法は、プリズムのようなバンドにはすごく有効だと思うのだ。しかも、驚異的なスキルを持つ現行メンバーが演奏した初期楽曲だけを抽出しているワケで…。いわばロートル・ファンの無い物ねだりを、そのままカタチにしてしまったベスト・パフォーマンス集と言えるのだ。

収録曲を見ると、ズバリ8曲中6曲が1st『PRISM』からで、2nd /3rd からは各1曲という大胆構成。1stから入ってないのはわずか1曲、というあたり、見事にファンのツボを突いている。
 1. Morning Light
 2. Dancing Moon
 3. Love Me
 4. Spanish Soul
 5. Virgo-9
 6. Viking II
 7. Tornado
 8. PRISM

ちなみに監修は、カナザワも懇意にしているライター仲間の近藤正義氏。同世代だけに、痒いところがよ〜く分かっていますワ