ryusenkei_talio

あ〜、ビックリしたな、もう。流線形の新作を待つこと数年。クニモンド瀧口氏から「来年こそ…」というセリフを聞いて はや何年?という感じだったので、TVドラマのサントラ・アルバムがこんなに早くできちゃうとは… ナンだ、やりゃあできるんぢゃん …なんて。

…というワケで、流線形/一十三十一の共同名義による『Talio』は、NHK総合ドラマ10『タリオ 復讐代行の2人』のオリジナル・サウンドトラック。クニモンド作曲/流線形:演奏によるインスト劇伴曲を中心に、一十三十一が歌うエンディング主題歌<悲しいくらいダイヤモンド>と<蜃・気・楼>、十一ちゃん作でKASHIFがトラックメイクした楽曲などが加わる。流線形のヴォーカル曲<金曜日のヴィーナス>は、元キリンジ弟:堀込泰行のユニセックス的ヴォーカルをフィーチャー。<嘘つき手品>では十一ちゃんとのクールなデュエットを披露している。

全21曲という曲数には驚くが、ほとんどが1〜2分台。まるで70年代のドラマの歌伴みたいだ。そういえばクニモンド氏は、幼い頃からイージー・リスニング好きで、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズを手掛けていた宮川泰が大好きだったな、と思い出した。このアルバムも、大野雄二とか井上堯之あたりの匂いがプンプン。そこにCTIあたりのクロスオーヴァーなテイストを加味している。流線形のバンド・サウンドに加え、敢えてオルガンでメロディを取ったりして、なかなか頭脳的。十一ちゃんのスキャットも、完全にキメ打ち。ちょっと投げやりな歌いクチが、ホントにピッタリとフィットしている。きっと時間的制約のある中、アイディア一発で完成させたのだろうけど、その勢いが良い方向に作用した。音数は少ないけど、エレピの揺らぎ感や涼やかなソリーナの響きが程よく空間を満たすのだな。弦と管のアレンジがシンリズム、というのも驚いた。

十一ちゃんが歌うナンバーは、KASHIFのサウンドメイクもあって、現在進行形のシティポップそのもの。ちょっと懐かしい感覚の流線形ナンバーとのバランス感もよく、鮮やかなコントラストを描いている。

聞くところでは、この企画は番組の音楽プロデューサーが今回はシティ・ポップで行こうと十一ちゃんに白羽の矢を立て、彼女のアイディアで流線形の起用に至ったとのこと。かつて一緒にアルバムを作った間柄なので、阿吽の呼吸でイイ作品ができた。最近の歌伴モノは打ち込みやゲーム音楽みたいなノリのものが多かったから、こういう生のバンド・サウンドが滅法フレッシュ。往年のクロスオーヴァー・フュージョン好きで、スムーズ・ジャズに辟易としている向きも、きっと楽しめるだろう。

ちょうど十一ちゃんとクニモンド氏のインタビューも公開された(https://realsound.jp/2020/11/post-652323.html)ので読んでみたら、突然自分の名前が出てきて、これまたビックリしたな