

元・四人囃子のギタリスト/ヴォーカリスト:森園勝敏のソロ・キャリアを、インストゥルメンタルとヴォーカル・チューンそれぞれで振り返ったベスト・アルバムが2枚、同時発売された。02年にビクターが『ニッポンのロック・ギタリスト』というベスト盤シリーズを組み、その中の1枚として森園版が用意されたことがあったが、独立した企画としてはお初。昨年、名曲<レィディ・ヴィオレッタ>のヴァージョン違いを掻き集めてアルバムにしてしまった『LADY VIOLETTA』の美しき暴挙が好評だったことから、こういう企画が生まれたそうだ。
先週の『スピンオフ四人囃子』のライヴ・ストリーミングを観ていて改めて思ったのは、オンタイムで愛し続けてきた四人囃子の作品群でも『一触即発』と『GOLDEN PICNICS』を別格に感じているのは、自分の場合、やはり森園のセンスに共鳴している部分が大きい、ということ。以前から大好きなギター弾きだったけど、ある時、彼がソロ・アルバムの中で取り上げるカヴァー曲のチョイスが、そのまま自分の好みのツボを付いてくることに気づき、あぁ、そういうコトだったのか
と。
ダニー・コーチマー在籍のアティチューズ、ブライアン・オーガーとかジェイムス・ヴィンセント、ベン・シドラン、マーク=アーモンド、スペンサー・デイヴィス・グループというよりはデイヴ・メイスンが元ネタっぽい<Gimmie Some Lovin'>とか。要するに、トミー・リピューマがハウス・プロデューサーを務めていたブルー・サム・レーベル系の色合い。ロックとジャズとソウルが絶妙に混じり合った、リアル・クロスオーヴァー。今回の解説にあるインタビューの中でも、「僕にとってブリティッシュ・ロックはバッド・カンパニーのファーストで終わってたけど、ロン・ウッドのアルバムはよく聴いてた」なんて言ってて。その心はきっと、ウィリー・ウィークスとアンディ・ニューマークのリズム隊にあるのだろう。それでジョージ・ハリスンやボビー・ウーマックの曲を演ってるんだから。
今回リリースとなる2枚のうち、『DAY DREAM』はインスト・ベスト。本編9曲の構成としては、キング時代のソロ4作から5曲、ギター・ワークショップのシリーズから2曲、ビクター期の2作から各1曲。それにボーナス・トラック3曲がつく。今の時代、森園よりハイ・スキルなギタリストなんていくらでもいるが、70年代から活躍している人って、表現力や説得力が違うんだよな。目にも留まらぬ流麗な早弾きより、ベンド一発の方がはるかに雄弁、みたいな。ロックからのクロスオーヴァー組では、やはり森園、大村憲司、チャーがカナザワ的ベスト3である。
そして『PROMISE ME THE MOON』がヴォーカル・ベスト。コレがカナザワ的には、どうにもヤバイ
だって前述のうち、タイトルにもなったアティチューズ/ダニー・クーチのカヴァー<Promise Me The Moon>、ブライアン・オーガー<You'll Stay in My Heart>、マーク=アーモンド<The City>、ベン・シドラン<Face Your Fears>が収録。今回の2枚には入ってないけど、シドランは<The Cadillac Kid>も演っていたな。更にウェット・ウィリー<Everybody's Stoned>、ウォーレン・ジヴォン<Night Time In The Switching Yard>、第1期ディープ・パープル<Lalena>(原曲はドノヴァン)なども。
シンガーじゃないから、ヴォーカル中心に聴いてしまうとキツイ部分も多々あるんだけれど、そこはもう “歌うギタリスト” のノリで、選曲センスやアレンジの良さもコミコミで。自作曲では、Bird's Eye Viewを率いての<Untitled Love Song>、シティ・ポップ的名盤『4:17p.m.』からの<Accident Love>と<The Blue Heaven>も好曲。『4:17p.m.』が好きな方は、ついでに森園がサウンド・プロデュースした松原みき『COOL CUT』(84年)も、同じ空気が流れているので是非チェックを(この2枚とは関係ないけど…)
UHQCD仕様のせいか、ビックリするほど音も良く。もちろん録音時期によってリヴァーブ過多の曲もあるが、丁寧なリマスターのためか耳障りにはならない。監修の近藤さん、ナイス・ジョブだす

ダニー・コーチマー在籍のアティチューズ、ブライアン・オーガーとかジェイムス・ヴィンセント、ベン・シドラン、マーク=アーモンド、スペンサー・デイヴィス・グループというよりはデイヴ・メイスンが元ネタっぽい<Gimmie Some Lovin'>とか。要するに、トミー・リピューマがハウス・プロデューサーを務めていたブルー・サム・レーベル系の色合い。ロックとジャズとソウルが絶妙に混じり合った、リアル・クロスオーヴァー。今回の解説にあるインタビューの中でも、「僕にとってブリティッシュ・ロックはバッド・カンパニーのファーストで終わってたけど、ロン・ウッドのアルバムはよく聴いてた」なんて言ってて。その心はきっと、ウィリー・ウィークスとアンディ・ニューマークのリズム隊にあるのだろう。それでジョージ・ハリスンやボビー・ウーマックの曲を演ってるんだから。
今回リリースとなる2枚のうち、『DAY DREAM』はインスト・ベスト。本編9曲の構成としては、キング時代のソロ4作から5曲、ギター・ワークショップのシリーズから2曲、ビクター期の2作から各1曲。それにボーナス・トラック3曲がつく。今の時代、森園よりハイ・スキルなギタリストなんていくらでもいるが、70年代から活躍している人って、表現力や説得力が違うんだよな。目にも留まらぬ流麗な早弾きより、ベンド一発の方がはるかに雄弁、みたいな。ロックからのクロスオーヴァー組では、やはり森園、大村憲司、チャーがカナザワ的ベスト3である。
そして『PROMISE ME THE MOON』がヴォーカル・ベスト。コレがカナザワ的には、どうにもヤバイ

シンガーじゃないから、ヴォーカル中心に聴いてしまうとキツイ部分も多々あるんだけれど、そこはもう “歌うギタリスト” のノリで、選曲センスやアレンジの良さもコミコミで。自作曲では、Bird's Eye Viewを率いての<Untitled Love Song>、シティ・ポップ的名盤『4:17p.m.』からの<Accident Love>と<The Blue Heaven>も好曲。『4:17p.m.』が好きな方は、ついでに森園がサウンド・プロデュースした松原みき『COOL CUT』(84年)も、同じ空気が流れているので是非チェックを(この2枚とは関係ないけど…)
UHQCD仕様のせいか、ビックリするほど音も良く。もちろん録音時期によってリヴァーブ過多の曲もあるが、丁寧なリマスターのためか耳障りにはならない。監修の近藤さん、ナイス・ジョブだす

ボーカルベストの方に松原みきに提供した曲のセルフカバーなんて入れてもらったらもっと嬉しかったですが、ユニークなボーナストラックも入っているし、音もとてもいいですね。
私も彼のピックアップする曲のセンスは秀逸だと思います。