ラスヴェガスを拠点にするロング・キャリアの実力派ミュージシャンが、
満を持して初のソロ・アルバムを発表。
AORフリークに注目されるトミ・マルムのニュー・アルバム参加をキッカケに、35年の経験が一気に開花する。
ルー・グラム(元フォリナー)、ボビー・キンボール(元TOTO)、
ミッキー・トーマス(元スターシップ)などとの共演歴は伊達じゃない。
トミ・マルムの『COMING HOME』ではバックグラウンド・ヴォーカルでの参加に過ぎなかったが、その経緯を尋ねてみると、ジェイミーが重要メンバーを務めるサンタフェ&ザ・ファット・シティ・ホーンズのリーダー:ジェリー・ロペスが、トミのアルバムで1曲共作したので、その流れで呼ばれた、とのこと。サンタフェ&ザ・ファット・シティ・ホーンズは、ラスヴェガスで20年以上も活動している15人編成のホーンズ・バンド。主に現地ホテルにレギュラー出演していて、ケニー・ロギンスやクリストファー・クロス、ビル・チャンプリンといった有名どころとも共演している。ビルの最新アルバム『LIVIN’ FOR LOVE』でも彼らの参加が検討されたが、コロナ禍で実現せず、代わりにマーク・ルッソ(タワー・オブ・パワー〜イエロージャケッツ〜ドゥービー・ブラザーズ)が各種サックスをダビングしてセクションを形成した、という裏事情があったほどだ。ちなみにホテルのステージでレギュラーというと、ハコバン的イメージを抱くかもしれないが、ヴェガスのホテルのボールルームともなれば、下手なホール以上の規模。そこでロングラン公演を組まれることは、エンターテイメント界では一緒のステイタスにもなる。
リーダーのジェリー・ロペスは、リッキー・マーティンのサポートでも活躍していた実力派ギタリスト。02年にソロ・アルバム『NEGRITA』を自主制作していて、ジェイ・グレイドンのプライヴェート・レーベル Sonic Thurst が流通を受け持っていた。もちろんアルバムにはジェイと、ビル・チャンプリンも参加。かくいう自分も、それに吊られてゲットした覚えがある。今回それを改めてチェックしたら、何とジェイミーは5曲共作してほとんどの楽曲に参加。共同プロデュースにも名を連ねていた。要するに、今まで自分が気づいていなかっただけで、いつの間にかジェイミーのキャリア初期の参加作に接していたワケである
ジェイミー自身はマサチューセッツ州スプリングフィールドがホームタウンで、15歳からプロ・キャリアをスタートしていたそう。自身のアイドルはビリー・ジョエルとエルトン・ジョン、そしてビートルズ。スティーヴィー・ワンダーとかスティーリー・ダンも大好きだし、最近はジョン・メイヤーにも心酔しているらしい。興味深いところでは、エイジアのツアーにも参加していたとか。もっともオリジナル・メンバーは不在の時期で、かつてジョン・ウェットンの後任を務めたジョン・ペインが、ウェットン復帰の際に立ち上げた分家的存在の“ASIA Featuring John Payne”、に参加していたそうだ。そのジェイミーがジェリーと出会ったのが2001年。そしてすぐにサンタフェ〜に誘われたという。
ではそのジェイミーが、いま敢えてソロ・アルバムを作ったワケは?
「COVID-19ですべてのギグがキャンセルになったことがキッカケなんだ。普段の僕はヴェガス内外で定期的にライヴをやっていて、ショウがない時は大抵何かのスタジオ・ワークが入っている。だからもしソロ・アルバムを作るなら、それは今しかない!と気づいたんだ」
だから収録曲は書き溜めていたもの。シンディ・ローパーのカヴァー<Time Ater Time>と、サンタフェでも演っている<The Answer>以外は、どれも今まで未発表だった(サンタフェ版<The Answer>は日本向けにボーナス収録)。
通して聴くと、キラー・チューンと言えるようなダントツの楽曲こそないもの、スティーリー・ダンへのオマージュであるタイトル曲<Comfortable Shoes>、AOR度の高い<Can't Stop Thinking About You>など、見事なまでの好曲揃い。打ち込み中心ではあるが、必要に応じてバンド・フォーマットを採用したり、プログラムに生楽器を差してみたり、あるいはピアノ+ストリングス・カルテットで聴かせたりと、演奏フォーマットはフレキシブルで尚且つナチュラル。ロング・キャリアを誇るだけに、どの手法をとってもクオリティが高い。自主制作モノのAORアーティストには、雰囲気だけでプロダクツのクオリティ・レヴェルが低いのが多いが、ジェイミーは楽曲、ヴォーカル、オケ、どれもバランスよくまとまっている。ライヴ活動で揉まれただけあって、ネイキッドな楽曲もチープにならず、シッカリとヴォーカルで持っていく。エレピで弾き語った<Time Ater Time>なんて、ちょっとした感銘を受けたな。
渾身のソロ・デビュー作にして、まさにエヴァー・グリーン。作為のない良質ポップ・メロディがココにある。
リーダーのジェリー・ロペスは、リッキー・マーティンのサポートでも活躍していた実力派ギタリスト。02年にソロ・アルバム『NEGRITA』を自主制作していて、ジェイ・グレイドンのプライヴェート・レーベル Sonic Thurst が流通を受け持っていた。もちろんアルバムにはジェイと、ビル・チャンプリンも参加。かくいう自分も、それに吊られてゲットした覚えがある。今回それを改めてチェックしたら、何とジェイミーは5曲共作してほとんどの楽曲に参加。共同プロデュースにも名を連ねていた。要するに、今まで自分が気づいていなかっただけで、いつの間にかジェイミーのキャリア初期の参加作に接していたワケである
ジェイミー自身はマサチューセッツ州スプリングフィールドがホームタウンで、15歳からプロ・キャリアをスタートしていたそう。自身のアイドルはビリー・ジョエルとエルトン・ジョン、そしてビートルズ。スティーヴィー・ワンダーとかスティーリー・ダンも大好きだし、最近はジョン・メイヤーにも心酔しているらしい。興味深いところでは、エイジアのツアーにも参加していたとか。もっともオリジナル・メンバーは不在の時期で、かつてジョン・ウェットンの後任を務めたジョン・ペインが、ウェットン復帰の際に立ち上げた分家的存在の“ASIA Featuring John Payne”、に参加していたそうだ。そのジェイミーがジェリーと出会ったのが2001年。そしてすぐにサンタフェ〜に誘われたという。
ではそのジェイミーが、いま敢えてソロ・アルバムを作ったワケは?
「COVID-19ですべてのギグがキャンセルになったことがキッカケなんだ。普段の僕はヴェガス内外で定期的にライヴをやっていて、ショウがない時は大抵何かのスタジオ・ワークが入っている。だからもしソロ・アルバムを作るなら、それは今しかない!と気づいたんだ」
だから収録曲は書き溜めていたもの。シンディ・ローパーのカヴァー<Time Ater Time>と、サンタフェでも演っている<The Answer>以外は、どれも今まで未発表だった(サンタフェ版<The Answer>は日本向けにボーナス収録)。
通して聴くと、キラー・チューンと言えるようなダントツの楽曲こそないもの、スティーリー・ダンへのオマージュであるタイトル曲<Comfortable Shoes>、AOR度の高い<Can't Stop Thinking About You>など、見事なまでの好曲揃い。打ち込み中心ではあるが、必要に応じてバンド・フォーマットを採用したり、プログラムに生楽器を差してみたり、あるいはピアノ+ストリングス・カルテットで聴かせたりと、演奏フォーマットはフレキシブルで尚且つナチュラル。ロング・キャリアを誇るだけに、どの手法をとってもクオリティが高い。自主制作モノのAORアーティストには、雰囲気だけでプロダクツのクオリティ・レヴェルが低いのが多いが、ジェイミーは楽曲、ヴォーカル、オケ、どれもバランスよくまとまっている。ライヴ活動で揉まれただけあって、ネイキッドな楽曲もチープにならず、シッカリとヴォーカルで持っていく。エレピで弾き語った<Time Ater Time>なんて、ちょっとした感銘を受けたな。
渾身のソロ・デビュー作にして、まさにエヴァー・グリーン。作為のない良質ポップ・メロディがココにある。