avalon

久々のAORレア・アイテムの世界初CD化が、英Rock Candy Records から。アヴァロンなるこのグループを日本のAORファンに広めたのは、拙監修ディスク・ガイド『AOR Light Mellow』の99年オリジナル版。その時自分は、「かなりのレア盤ながら、ロマンティック・ハードネス路線がお好きなAORフリークにはマスト」と紹介している。4曲入りミニ・アルバムという変則的リリースなので、少々CD化しづらいアイテムだったが、当時のメンバーから未発表音源7曲(ライヴ含む)の提供を受けてリイシューを実現。インタビューや当時の貴重な写真などを満載した16ページのブックレットが付いた、スペシャル・デラックス・コレクターズ・エディションとして復刻された。

メンバーはクリス・コート(kyd,vo)とリック・ネイアー(g,lead vo)というソングライター・コンビに、マイク・ミラージ(g,kyd)を加えた3人。TVショウやCMに使われる楽曲を書いて演奏していたクリスとリックがライヴ活動を目論み、マイクらを迎えて5人組としてバンドがスタート。L.A.周辺のクラブ・サーキットで地道に活動しながら、バンド・デビューを目指したのだ。何度かのチャンスをフイにした後、元ブラッド・スウェット&ティアーズで当時キャピトルのハウス・プロデューサーを務めていたボビー・コロンビーに見出され、82年にこのワン&オンリー・アルバムをリリース。しかしレーベルからはマトモにサポートしてもらえず、フル・アルバムが出せないまま、契約は切られてしまった。

でもこの4曲、ボビー・コロンビーが手掛けたペイジスあたりを髣髴させるサウンドを持っていて。サポート・メンバーとしてリズム隊にマイク・ポーカロ(b)とヴィニー・カリウタ(ds)、鍵盤にジェイ・ワインディングらが付き、ソリッドかつスリリングなロック寄りAORを披露する。1曲目<Can't Find A Way(To Say Goodbye)>は攻撃的なハード・シャッフル。キャッチーなメロディと分厚いコーラスを持つ<Deeper Than The Heart>やスティクス風の<Crossfire>、そして極め付けが<The Writing On The Wall>で、緻密なコード・チェンジとしなやかなアレンジ、ハイトーンのヴォーカルと、かなりペイジスっぽい。産業ロック風の楽曲を職人の技と旨味で聴かせる実力は如何にもAORファン受けしそう。ボビー・コロンビーの流れだろう、同年のアメリカ『VIEW FROM THE GROUND (風のマジック)』には、メンバーが全員で参加していた。

蔵出し7曲は、デビュー前の5人時代の音源や、クリスとリックが2人で録ったデモ音源が中心。おそらくレコーディング契約を失った後も、2人は一緒に作曲活動を続けていたのではないか。中でも<River Of No Return>なる曲は、後にクリスティーナ・アギレラをスターにするロン・フェアがプロデュース。コーラス陣には、ジェフリー・レイブ(ピーシス〜LAX)も名を連ねている。それだけの高いポテンシャルを秘めたユニットだったのだ。

全11曲、どの曲も一定クオリティを軽くクリアしている一方で、万人受けするズバ抜けたキラー・チューンがないのが、まぁ、隠れたAOR名盤らしいところ。この再発CDも足が早そうなので、気になる方は早めのチェックをオススメしておきたい。