ab's newab's blue

ゼロ年代に再結成した第2期AB'Sが自主制作でリリースしていた、今となっては激レアな2タイトル『NEW』(05年)と『BLUE』(07年)が、ライター仲間である近藤正義氏企画・監修の “Free Ride Edition” @ステップス・レコーズでリイシュー。05年に出演した Croosover Japan '05 のライヴ音源を1曲ずつボーナス収録し、タワーレコード限定で発売される。

AB'Sは元々、芳野藤丸の1st ソロのレコーディング・セッションに集まった松下誠、渡辺直樹、岡本郭男らが意気投合し、安藤芳彦(元パラシュート/作詞家)を加えてバンドとして動き出した経緯がある。2枚のアルバムを作った後、松下が自分の活動に専念するため脱退。そのまま残った顔ぶれで3枚目を出したが、その後自然消滅し、藤丸と小島良喜が組んだ新ユニットのアルバムが、『AB'S 4』として世に出た。この時のリズム隊は松原秀樹、長谷部徹で、オリジナルAB'Sに匹敵する強力ラインナップだったが、バンドとしての実態はなく、スタジオ・セッションに過ぎなかった。

今回再登場の第2期は、03年にオリジナル・メンバーで単発的に再結成。その後 本格的リユニオンに進み、安藤はサポートに。代わりに山田秀俊が新加入し、『NEW』が作られた。そうした経緯からか、オリジナル期が民主的ながらも藤丸を中心に動いていた感があったのに対し、再結成後はメンバー全員が完全に平等。収録曲は2枚とも全員メンバーの持ち寄りになっている。またコーラスもできるセッション・キーボード・プレイヤーとして引く手数多だった山田の加入で、バンド・アンサブルも強化され、オリジナル期以上に緻密に構築されたアレンジが可能に。そうなると、機材やテクノロジーにも明るいマコトさんが本領発揮。自ずとメンバー内の交通整理をするようになった。それは藤丸さんも認めるところ。再発盤のインタビューの中でも、「この2枚はマコトの色が強いんじゃないか」と発言している。

そうした意味では、AB'Sサウンドに何を求めるかによって、オリジナル期とこの第2期で好みが割れるところかも(『AB'S 4』は番外)。今だと便宜上、広義のシティ・ポップとして扱われるとしても、個人的にはAORとかシティ・ポップというより、 もっとクロスオーヴァー/フュージョン要素が強いバンドで、そこにコーラス好きの一面が乗ったバンドだと思っている。特に最初の2枚は、ジャズ・ファンクが強いからこそ英国やヨーロッパでもウケたワケだし。ま、カテゴライズはどうでもイイけど、バンドの立ち位置はシッカリ正確に押さえておきたいところだ。

それから10年超の休止期間を経て、再び集まった現行AB'S。諸事情から第3期に入ることになったものの、『AB'S-7』 のクオリティの高さはかなりのモノ。(リリース時のレビューはこちら) そしてそこへ至る歩みが、この2枚に封じ込められている。

NEW / AB'S <タワーレコード限定>
Blue / AB'S <タワーレコード限定>