shambara

神保彰のニュー・アルバム『SORA』『アメノチハレ』のリリースに合わせるかのように、神保サンと盟友:櫻井哲夫が立ち上げたプロジェクト、SHAMBARAの89年ワン&オンリー作がタワーレコード限定でCD復刻。アナログ盤は、ひと足早くHMV Record Shop発信で出ていて、それが初のアナログ化ではなかったかな? 当時サンプル盤だけ作られたという7インチ・シングル『恋の瞬間〜Can't Stop My Love / SOOLID LOVE』も、今年早々に限定リイシューされている。

昨今の世界的シティ・ポップ・ブームは、ヴェイパー・ウェイヴの影響が大きいから、こうしたレイト80's〜アーリー90'sのプラスチックなサウンドも、あまり違和感を持たれないのだろう。オンタイムで聴いてた身としては、音楽の内容ではなく、この頃のギンギン・リバーブやカチコチのサウンドメイキングに時代を感じてしまうのだけど…。

このSHAMBARA(シャンバラ)は、カシオペアのリズム隊である櫻井哲夫と神保彰が、カシオペアの別働隊として組んだヴォーカル・グループ。当時はカシオペアの4人がそれぞれに、分解掃除よろしくソロ・アルバム制作に取り組んだ時期。そこから派生するようなカタチで、櫻井・神保が主導するこのヴォーカル・プロジェクトが立ち上がった。当時はカシオペアもヴォーカル曲にトライし、レコーディングではジョン・ウェイト(ベイビーズ〜バッド・イングリッシュ)やフランク・シムズ(Simms Bros.)、ツアーでは楠木勇有行(恭介)を起用していた。それを更に発展させるカタチで、SHAMBARAが生まれたのである。

そのフロントが、近年人気の国分友里恵と秋元薫。ギターには古川望、キーボードに梁邦彦の6人が正式メンバーで、アレンジでは友里恵嬢の旦那になる岩本正樹や石黒彰も協力した。しかしこのプロジェクトは、スポンサーが付いたり、ファッション・デザイナーの山本寛斎がヴィジュアル・プロデューサーに就くなどし、期せずしてして巨大化。それに異を唱えた野呂一生との間に確執が生まれ、櫻井&神保はカシオペアを離れてJIMSAKUが誕生する。ケチが付いたSHAMBARAは、結局このアルバム1枚で活動停止。それが今になって再評価の俎上に上がってくるとは…。

音楽的には、ヴォーカル入りとは言ってもシティ・ポップではなく、ダンサブルでファンキーな歌モノ・フュージョンというべきスタイル。いわゆる歌モノとは違って楽曲を聴かせるのではなく、オケと歌が対等に渡り合っている。パフォーマンスとしての歌と演奏が中心、そういうスタンスだ。特に秋元薫はあまりレコーディング作品を残していないので、そうした意味でも貴重な一作。

最近、JIMSAKUを限定復活させた櫻井・神保チームは、ライヴで向谷実と共演。野呂さん以外の元カシオペア3人が揃って、カツシカ・トリオと名乗った。果たして野呂サンはどう出るか…?

2021年 最新デジタル・リマスター。CDでのお求めは以下。
https://tower.jp/search/item/SHAMBARA