2021年も大詰めで、年内最後のライナーを入稿。あぁ、今年も大掃除は手付かずで終わりそうだな。最低でもデスク周りの山積みCDとアナログだけは片付けないと、年明けの仕事に支障が出そうなんだが。でももうレコ部屋もイッパイイッパイ。まずは外に出ている分の収納スペースを確保するところから始まるから、これだけで一日が過ぎてしまう…
さて、いま聴いているのは、昨日の SHAMBARAと同時にタワーレコード限定で再発されたAMYの83年、ワン&オンリー作。これもアナログ盤は、8月の【CITY POP ON VINYL】でHMV Record Shopが復刻していて、その時は「こんなのも出しちゃうのかぁ〜」とかなり度肝を抜かれた。…というのはこのアルバム、もともと拙監修のシティ・ポップ系ディスクガイド『Light Mellow 和モノ』の掲載ネタだから。2014~15年にトータル30枚くらい組んだ『Light Mellow 和モノ』コンピレーションでも、度々収録候補に挙がりながら、結局収められずに終わってしまったアイテムだった。だって当時はあまりに無名だったから…。対象はユニバーサル盤だけれど、大メジャーだけに優先すべき著名アーティストが多く、プライオリティで割りを喰ってしまったのだ。それだけにHMVの英断に驚いたのだが…。そしてそれが今度はタワーレコード限定で初CD化。まったく、シティ・ポップ・ブーム様サマである。
で、このAMY。今でこそ “シティ・ポップ・アイドル” なんて呼び方をされたりするが、実は未だに正体がよく分からない…。注目すべきは、故・松原正樹の全面プロデュースというトコロで、デビュー曲<瞬間少女>は黒住憲五の作曲。黒住さんはもう1曲<Mr.Cool>というナイスなAORチューンを提供していて、こちらも2枚目のシングルに切られている。特に2枚目の方は黒住節全開。歌詞を変えれば、そのまま彼のレパートリーとしてイケそうだ。もしCD化に際してライナーとか依頼されてたら、AMYのことを黒住さんに訊き出したんだけどネ、タワーさん 今すぐに思い付くのは、松っつぁんの83年名盤『SNIPER』に参加し、コーラスを取っていたこと。同時期に松っつぁんがプロデュースした黒住さんのアルバム『AGAIN』にも、サンクス欄にクレジットがある。まさに松原正樹が大事に育てて送り出したシンガーなのだ。
この時期の松っつぁんサウンドといえば、早い話が初期・松田聖子、である。アイドル然として売り出されたが、実はAMY、曲も作れる才媛で、このアルバムでも3曲が彼女のペンだ。しかも<雨色のスクリーン>とか<GRADUATION>なんて、黒住さん真っ青の名曲を書いている。オマケに作詞まで手掛けた<TONIGHT>は英語詞。そうか、AMYなんて名前を考えると、もしかしてこの娘、帰国子女だったのかも。
だからきっと、シンガー・ソングライターとして売り出すコトもできたのだろう。イヤ、時代が違えば、きっとそれがセオリーだったはず。実年齢は不明ながら、ルックスには結構オトナっぽさがある。ところが歌声は無垢で可憐なエンジェリック・ヴォイス。そのアンバランスな感じ、まだあどけなさを残す少女がグッと背伸びをしてオトナの世界を覗き込む、そんな初々しさがあるのだ。さすがに歌は聖子ほど上手くなくて拙いけれど、聖子のぶりっ子が自然に板についたような、そんなピュアな魅力がある。プロデューサー松原正樹の狙いも、きっとその辺にあったに違いない。
AMY自身と黒住さん以外の楽曲提供は、<レオニズの彼方に>で知られる滝沢洋一が2曲、かまやつひろしプロデュース/松原正樹アレンジ/演奏パラシュートで82年にアルファからデビューしている鈴木コウの詞曲が1曲、パラシュートのマイク・ダン作詞作曲による英語曲が1曲。前述<雨色のスクリーン>でAMYのメロディに詞を乗せたのは、当時REICOの田口俊。そして松原自身が問答無用の超絶アーバン・チューン<25時>を書いている。
松っつぁん渾身のアレンジ&プロデュース/ギターとなれば、参加メンバーも、山田秀俊/新川博/佐藤準/奥慶一(kyd)、島村英二/菊地丈夫(ds)、美久月千晴/長岡道夫/マイク・ダン(b)、 安田裕美/笛吹利明(ac.g)、 斉藤ノブ(perc)、ケイシー・ランキン/ジョン・スタンリー/田口俊/鈴木コウ/マイク・ダン/山田秀俊(cho)と豪華そのもの。
でも、この少しオトナな松田聖子路線、結局は当たらなかった。サウンドの内容は素晴らしいが、プロモーション不足というより、ターゲットが絞り切れなかったのかもしれない。2枚目のアルバムさえなかったのはチョイと解せないが、その清廉な感じだとイイトコのお嬢様っぽいから、さっさと真っ当な道へと進んだのだろうか。まさに、いま評価しないでどーするという好盤。きっと天国の松っつぁんも、アナログ〜CDと続く驚異の復刻劇に驚いて、雲の上から下界を覗き込んでいるだろう。
女性がムスメからオンナへと変身していく姿は、いつだって男心をソソるものです。
2021年 最新デジタル・リマスター。CDでのお求めは以下。
https://tower.jp/artist/4062940/AMY
で、このAMY。今でこそ “シティ・ポップ・アイドル” なんて呼び方をされたりするが、実は未だに正体がよく分からない…。注目すべきは、故・松原正樹の全面プロデュースというトコロで、デビュー曲<瞬間少女>は黒住憲五の作曲。黒住さんはもう1曲<Mr.Cool>というナイスなAORチューンを提供していて、こちらも2枚目のシングルに切られている。特に2枚目の方は黒住節全開。歌詞を変えれば、そのまま彼のレパートリーとしてイケそうだ。もしCD化に際してライナーとか依頼されてたら、AMYのことを黒住さんに訊き出したんだけどネ、タワーさん 今すぐに思い付くのは、松っつぁんの83年名盤『SNIPER』に参加し、コーラスを取っていたこと。同時期に松っつぁんがプロデュースした黒住さんのアルバム『AGAIN』にも、サンクス欄にクレジットがある。まさに松原正樹が大事に育てて送り出したシンガーなのだ。
この時期の松っつぁんサウンドといえば、早い話が初期・松田聖子、である。アイドル然として売り出されたが、実はAMY、曲も作れる才媛で、このアルバムでも3曲が彼女のペンだ。しかも<雨色のスクリーン>とか<GRADUATION>なんて、黒住さん真っ青の名曲を書いている。オマケに作詞まで手掛けた<TONIGHT>は英語詞。そうか、AMYなんて名前を考えると、もしかしてこの娘、帰国子女だったのかも。
だからきっと、シンガー・ソングライターとして売り出すコトもできたのだろう。イヤ、時代が違えば、きっとそれがセオリーだったはず。実年齢は不明ながら、ルックスには結構オトナっぽさがある。ところが歌声は無垢で可憐なエンジェリック・ヴォイス。そのアンバランスな感じ、まだあどけなさを残す少女がグッと背伸びをしてオトナの世界を覗き込む、そんな初々しさがあるのだ。さすがに歌は聖子ほど上手くなくて拙いけれど、聖子のぶりっ子が自然に板についたような、そんなピュアな魅力がある。プロデューサー松原正樹の狙いも、きっとその辺にあったに違いない。
AMY自身と黒住さん以外の楽曲提供は、<レオニズの彼方に>で知られる滝沢洋一が2曲、かまやつひろしプロデュース/松原正樹アレンジ/演奏パラシュートで82年にアルファからデビューしている鈴木コウの詞曲が1曲、パラシュートのマイク・ダン作詞作曲による英語曲が1曲。前述<雨色のスクリーン>でAMYのメロディに詞を乗せたのは、当時REICOの田口俊。そして松原自身が問答無用の超絶アーバン・チューン<25時>を書いている。
松っつぁん渾身のアレンジ&プロデュース/ギターとなれば、参加メンバーも、山田秀俊/新川博/佐藤準/奥慶一(kyd)、島村英二/菊地丈夫(ds)、美久月千晴/長岡道夫/マイク・ダン(b)、 安田裕美/笛吹利明(ac.g)、 斉藤ノブ(perc)、ケイシー・ランキン/ジョン・スタンリー/田口俊/鈴木コウ/マイク・ダン/山田秀俊(cho)と豪華そのもの。
でも、この少しオトナな松田聖子路線、結局は当たらなかった。サウンドの内容は素晴らしいが、プロモーション不足というより、ターゲットが絞り切れなかったのかもしれない。2枚目のアルバムさえなかったのはチョイと解せないが、その清廉な感じだとイイトコのお嬢様っぽいから、さっさと真っ当な道へと進んだのだろうか。まさに、いま評価しないでどーするという好盤。きっと天国の松っつぁんも、アナログ〜CDと続く驚異の復刻劇に驚いて、雲の上から下界を覗き込んでいるだろう。
女性がムスメからオンナへと変身していく姿は、いつだって男心をソソるものです。
2021年 最新デジタル・リマスター。CDでのお求めは以下。
https://tower.jp/artist/4062940/AMY
今でもたまに取り出して丁寧に聴いています。
声が細くてあまり力量無かったので確かにアイドルとポップ歌手(?)の間のような感覚でした。
やはり当時の松原さんの音は大好きです。
まだこの頃はアリアのギター使ってたんでしょうか?
AMYと与詞古(AKA-GUY)は確かにその後が謎の女性シンガーですね・・・