dave koz_cory wong

サブスクを使い始めて、一番CDを買わなくなったのが、実はこのスムーズ・ジャズ。何かをしながら、サラリとBGM的に聴き流すことが多いジャンルだし、金太郎前状態のアーティストが少なくないから、自分にとっては もうそれでコトが足りちゃう。ライヴだとまた違った面が楽しめるけど、録音モノにはほとんど興味を失っていた。そんな中にあって、最近何度もリピートして聴いていたのがこのアルバム。そうなると結局フィジカルが欲しくなって…。黄色のTにオーダーしたら、3〜5日で入荷のはずが1ヶ月以上待っても届かないので、Aに切り替えたところ翌日着いた。予約商品や限定モノに関してはまるで信用できないAだけど、在庫があれば役に立つ。

で、何故そんなに気に入ったかというと、ギターのコリー・ウォンの存在だろう。ヴォルフペックの準レギュラーとして頭角を現した人だけれど、とにかくこまっしゃくれた気持ち良いカッティングを聴かせてくれる。本人は、マイケル・ジャクソンとの共演が多かったデヴィッド・ウィリアムスと、ポール・ジャクゾンJr.に影響を受けたらしいが、ギターのトーンはハイラム・ブロック風のロック・ファンク系で、ちょっと立体感のある音像で刻む。カキコキしたリズム・ワークは、若干ディーン・ブラウンっぽい? 遡ればタワー・オブ・パワーの全盛期を支えたブルース・コンテに近いかも。

特に彼のギター・カッティングを意識するようになったのは、ヴォルフペックのサイド・プロジェクト:The Fearless Flyersの映像を見て。ヴォルフペック、スナーキー・パピーのメンバーにドラムのネイト・スミスまで参加していて、グルーヴ命みたいな小気味良い演奏に惹かれた。当然コリーの貢献も大きく。

そんなコリーのギター・プレイに、デヴィッド・コズが目を付けたのだろう。最初の共演は3〜4年くらい前だったらしいが、去年はこんなにイカした共演アルバムを作ってくれた。曲はほとんど2人の共作で、プロデュースがコリー。近年のデヴィッドは友人たちとのコラボ・アルバムが多く、そろそろネタ切れが見え隠れしていたが、この共演には大いに刺激を受けたのではないか。ファンキー・テイストの楽曲が多く、いつになくイキの良いサックスが聴ける。映像見ても楽しそうだし。ある意味、ライヴ・パフォーマンスをそのままパッケージしたようなニュアンスで。

元々スムーズ・ジャズは、アチラのラジオ・フォーマットから発展したジャンルだ。それ故か音楽スタイルの縛りが多く、ミュージシャンから演奏の自由を奪っていく傾向があった。アルバムとライヴが別モノだったのも、そういうコト。それが今、ジャズ新世代によって塗り変えられつつあるのかも知れないな。