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ブルー・ペパーズを通じて知り合い、早6〜7年。最近はスッカリ売れっ子コーラス嬢となり、年末の紅白歌合戦やFNS音楽祭など、画面を通じて見かけるコトも増えている佐々木詩織チャン。彼女の初めてのソロ音源が、今日午前0時にデジタル・リリースされた。サウンド・プロデュースが、彼女をよく知るブルー・ペパーズ:井上薫というコトで、良いモノができるのは音を聴かずとも確信できたが、実際に詩織チャンから送られてきた音源を聴いて、想像以上のクオリティの高さにビックリ だからこうして速攻でご紹介している。

知り合った時はまだ音大生だった詩織嬢だが、卒業間もなく大野雄二に抜擢され、ルパン作品のヴォーカル隊Fujiko-chansに参加。その後はユーミンのバンドのレギュラー・コーラス隊を務めながら、井上陽水やKinki Kids、水樹奈々、Scoobie Do、未唯mie 等など、錚々たる顔ぶれのツアーやレコーディングに関わっている。ブルー・ペパーズではレギュラー・サポート的ポジションで、代表曲<6月の夢>のほか、<ずっと><ふたりの未来><マリンスノーの都市>などでリード・ヴォーカルやデュエットを披露。恒例のユーミン苗場ライヴの間隙を縫って、先週のコットン・クラブ公演にも参加していた。カナザワ方面では、今井優子をサポートしてもらったコトもある。

今回配信されたデジタル・シングルは、<きみがいる世界>と<雪の日のさよなら>の2曲。<きみがいる世界>は意外にもウェットなバラードで、これは相当に自信がないとできない芸当だ。世がみんな軽々しくシティ・ポップに靡いていく中、その本筋にいるはずの彼女が、敢えてこういうスタイルの初ソロ曲を出してくるところに、実力派としての矜持を感じずにはいられない。元々がポップ・スタイルなので、圧倒的なヴォーカル・スキルや声量を持つワケではない。もちろん上手くなっているのは間違いないが、小手先のテクニックには走らず、代わりに歌の表情が豊かになった。楽曲の印象としては、吉田美奈子<時よ>に近いかな。時々 舌足らずな感じにもなるけど、そこがむしろ愛くるしいと言うか… 例えばキャロル・キングなんかも、声を張るとチョッとだけハスキーになったりするが、ポップス系のシンガーは、あんまり完璧すぎると返って愛嬌がなくなる。だからコレでいいのダ

しかもこの曲、ピアノ・バラードなのに、レコーディング・メンバーがスゴイ。ソロがトランペットなのも、なかなかにシャレオツ。ここは普通、フリューゲルかトロンボーンに行きそうだけど、トランペットだと逆に生々しくてエモな仕上がりになる。でもこの曲のバックで一番耳を奪われるのはベース。すごく激しく動き回っているのに、歌をまったくジャマしていない。こりゃー只者ではない、なんて思いながら、後からクレジットをもらったら、何とリー・スクラーで、「そうか」と納得。リーはブルー・ペパーズの新作『SYMPHONY』にも参加していたけど、さすが薫クン、さすがイイ人脈を掴んでいます。

Bass : Leland Sklar / Drums : Russ Kunkel / Trumpet : 佐瀬悠輔 / Piano : 井上薫

対して<雪の日のさよなら>は、キュートな打ち込みシティ・ポップで、薫クンのワンオペ。でもサウンドメイクが凝っていて、シンセ・ベースのフレーズとか、メチャクチャ創造性に溢れている。言ってしまえば、ブルー・ペパーズが新作で目指した、80'sならではのキーボード・ミュージックの系譜。いま雨後のタケノコの如く登場しているベッドルーム・ポップス勢のチープなサウンドとは、根本的に作りが違う。緻密なヴォーカル・アレンジは詩織ちゃん自身。この歌声の積み方は、やはり大御所たちに現場で揉まれてきた経験があってこそだろう。もちろん2曲とも、詩織ちゃんの作詞作曲。

コンピュータでトラックを作って、そのままネットに上げて、たまたまバズって大ヒット。そんなぽっと出の新人が珍しくない昨今だけれど、その手の輩はアイディア一発だから、アッという間に消えていく。曲のインパクトや面白さが耳に残っても、誰が歌っているのかは大して気に留めてもらえない、そういう時代だ。でもシッカリと真摯に音楽に向かい合ってるミュージシャン、ソングライターたちは、大ヒットとは縁がなくても、納得できる楽曲・作品をコンスタントに産み落としていく。成功するには運・縁・勘が必要だけど、継続するには実力や努力。これは嘘をつかず、自分を裏切らない。

気が早いが、もう今からフル・アルバムが楽しみになってきたな〜