
先月頭、グローヴァー・ワシントンJr.のエレクトラ期5作品をボックスにまとめた『IN THE NAME OF LOVE - The Elektra Recordings 1979-1984』のご紹介をポストしたら、これがビックリするくらいの高反響。そのボックスから、5枚のアルバムそれぞれにボーナス・トラックとして収められていたシングル・エディットのみを集成し、1枚のコンピレーションに収めたのが、この『THE COMPLETE ELEKTRA SINGLES』。99年に急逝してしまったグローヴァーのデビュー50周年を記念した、日本独自企画盤である。
この作品がユニークなのは、タイトル通りに全収録曲がシングル・ヴァージョンであること。フュージョン系のインストゥルメンタル奏者に、これだけのシングルがあったというコトに、まずは驚嘆させられる。その頂点にあるのが、超名盤『WINELIGHT』から全米2位の大ヒットになった、ビル・ウィザースがヴォーカルを取る<Just The Two Of Us>。当然多くのカヴァーを生んだが、その後ヒップホップ時代になってもサンプル・ソースとして広くネタ使いされ、その印象的なピアノ・フレーズが定着した。でもそうしたシングル・ヒットはエレクトラ時代に始まったコトではなく、72年にCTI/KUDUからデビューして以来、ずっと続いているもの。エレクトラ入り前に既に数曲をR&Bチャートへ送り込み、75年の<Mister Magic>は、全米ポップ・チャートでも54位とスマッシュ・ヒット。<Just The Two Of Us>に先駆けてネタ曲となっていた。こうした長年の影響力の大きさが、後のスムーズ・ジャズ勃興に繋がったのである。
ただ各アルバムのオリジナル・トラックとは違い、シングル・エディットだから、どれも米ラジオ局でのオンエア狙いで、曲が短く編集されている。しかもエンディングが短いとか、早くフェイド・アウトしてしまう、なんてモノではなく、サックス・ソロが大胆にカットされちゃってるのだ。サックス奏者のシングルなのに、そりゃああり得ん
と思うが、コレが現実。つまりグローヴァーの演奏の魅力より、知名度上昇と楽曲の流布が優先。ゆったりマイルドなサックスそのものを楽しみたいなら、オリジナル・アルバムをどうぞ。でも気軽にゴージャスな雰囲気を気楽に楽しみたいライト・リスナーや、グローヴァーってどんな人?という初心者なら、まずはこのコンピレーション、という斬り口なのだ。だからウィザースのみならず、パティ・ラベル、ジョン・ルシアン、グラディ・テイトのヴォーカル曲も、まとめて一気に楽しめる。ボーナス曲も、ロバータ・フラックが歌う<In The Name Of Love>で、彼女のアルバム『I'M THE ONE』にグローヴァーが客演した時のヴァージョン。オリジナルは言うまでもなく『WINELIGHT』で、グローヴァーがブロウするインスト曲に、ウィザースが歌詞を乗せた。でもどれもすべてラルフ・マクドナルド一派のプロデュースだから、サウンド的な違和感など微塵もない。
オリジナルに馴れ親しんでいると、各シングル・ヴァージョンは、美味しいはずのソロ・パートをザックリ切ってしまっていてズッコケる。が、アッサリ聴くと、楽曲が矢継ぎ早に出てきて、これはこれで気持ち良い。そう言う意味ではライト・ユーザーや初心者だけでなく、コアなグローヴァー・ファンも、普段と違った新しい聴き方が楽しめそうだ。
ただ各アルバムのオリジナル・トラックとは違い、シングル・エディットだから、どれも米ラジオ局でのオンエア狙いで、曲が短く編集されている。しかもエンディングが短いとか、早くフェイド・アウトしてしまう、なんてモノではなく、サックス・ソロが大胆にカットされちゃってるのだ。サックス奏者のシングルなのに、そりゃああり得ん

オリジナルに馴れ親しんでいると、各シングル・ヴァージョンは、美味しいはずのソロ・パートをザックリ切ってしまっていてズッコケる。が、アッサリ聴くと、楽曲が矢継ぎ早に出てきて、これはこれで気持ち良い。そう言う意味ではライト・ユーザーや初心者だけでなく、コアなグローヴァー・ファンも、普段と違った新しい聴き方が楽しめそうだ。
個人的には「Let It Flow」の出だしでPaul GriffinのFender Rhodesが途中でEditされてるのが……😅