freddie hubbard_bundle

数日前にアップしたアルフォンス・ムゾーンからのフレディ・ハバード、77年の『BUNDLE OF JOY』。当時、60年代のブルーノート〜アトランティック時代にこだわる石頭のジャズ批評家やファンにコキおろされていたらしいハバードだけれど、70年に移籍したCTIでの諸作品はクロスオーヴァー・ファンには人気が高く、アナログ時代から再発も繰り返されている。その後を引き継いだのが、70年代中盤からの米コロムビア期。『HIGH ENERGY』『LIQUID LOVE』『WINDJAMMER』『BUNDLE OF JOY』『SUPER BLUE』『THE LOVE CONNECTION』『SKAGLY』と、80年までの6年でコンスタントに7枚のオリジナル・アルバムをリリース。安定した都市型ソウル・ジャズ、もしくはジャズ・ファンク・スタイルを貫いた。

そのコロムビア中期の77年に出たのが、この『BUNDLE OF JOY』。2作前の『LIQUID LOVE』では結構バリバリのトランペットを披露していたが、これは同路線ながら、もっとアーバンな出来。<From Now On>はバニー・シーグラーの楽曲で、ルー・ロウルズやリンダ・クリフォードがピックアップ。トム・ベル=リンダ・クリードの名コンピが書いた<I Don't Want To Lose You>は、75年のスピナーズを皮切りに、シュープリームスやフィリス・ハイマンが歌い、新しいところではウィル・ダウニングもカヴァーした。つまりフィラデルフィア・ソウルを意識しているのは明白で、多くの曲にオーケストラがふんだんに。ナット・キング・コールのレパートリーで、オスカー・ピーターソンがネルソン・リドルと共演していた<Portrait Of Jenny>など、全体的にシュガー・コーティングが効いている。

一方で、積極的に曲を書くハバードのペンは、デヴィッド・T・ウォーカーをフィーチャーしたメロウなタイトル曲、エイゾー・ローレンスと渡り合うファンキー・チューン<Tucson Stomp>、アーニー・ワッツがソロを取る<Rahsann>あたりで冴えたところを聴かせる。早いパッセージのハイノートを聴かせるイメージのハバードだけど、朗々としたフリューゲルのソロも魅力的で。<Rainy Day Song><From Behind>は若き日のデヴィッド・ガーフィールド(kyd / カリズマ)の提供曲で、前者は軽快なポップ・ファンク、後者は雰囲気タップリのメロウ・ミディアムで、ガーフィールドらしくラテン・グルーヴに展開する。エレピ・ソロも、なかなかの聴きモノ。

ガーフィールドの縁か、バック・メンバーにもジェイ・グレイドン(g)、カルロス・ヴェガ/エド・グリーン(ds)、ウォーターズ(cho)あたりの馴染み深い名があって。プロデュース&アレンジはバート・デ・コトーで、この頃は米コロムビアのハウス・プロデューサーとして、マリーナ・ショウやラムゼイ・ルイス、ロニー・リストン・スミス、メイナード・ファーガソン、イラケレなど、その筋にイイ仕事を残している。

そりゃあゴリゴリのジャズ・ファンには敬遠されてしまうだろう。けれどクロスオーヴァー好きには、気持ち良いったらありゃしない。リーズナブルな3枚パッケージがあるうちに、是非まとめてのお試しを。