sparks bros.

レビュー原稿入稿からの映画鑑賞、相方熱望の『シン・ウルトラマン』、だったらついでにと『スパークス・ブラザーズ』。家からクルマで小1時間のシネコンで両方続けて観られる、ってんで。『ウルトラQ』から『帰ってきたウルトラマン』ぐらいまでリアルタイムで観ていて、エースの時に突然登場した兄弟構想にゲンナリした世代なので、『シン…』には正直 あまり期待してなかったが、まぁ、こんなモンかと。後半の無理繰りな展開にはビックリしたけど、妙に現実的な設定が多かったのは面白かった。シュッとしたプロポーションのメフィラスには、さすがに苦笑するしかなかったが…。外星人と日本政府が交渉する様は、今回は登場しないメトロン星人とウルトラセブンによる夕暮れの四畳半会談を思い出した。

で、数日前のポストのように、俄然観たくなって来てしまった『スパークス・ブラザーズ』。『KIMONO MY HOUSE』以降の動向はある程度知っていたし、80年代までのアルバムはおおよそ耳を通していたけれど、ヤッパリこの兄弟は珍妙です。

このドキュメンタリーは、ロン&ラッセル・メイル兄弟の生い立ち、ハーフネルソン名義でのデビューから、半世紀にも渡るミュージシャン・キャリアを、貴重なアーカイヴ映像や豪華アーティストたちのインタビューで振り返っていく内容。トッド・ラングレン、デュラン・デュラン、ニュー・オーダー、ベック、フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)、アレックス・カプラノス(フランツ・フェルディナンド)など、80 組にも及ぶアーティストや新旧メンバー、スタッフなどが登場する。

カリフォルニア生まれとは思えぬ異端の音楽性、メインストリームの裏を突き進む挑戦的かつ独創的な楽曲、遊び心溢れるPV、ビジネス的な浮沈…。英米に於ける大きな評価の差がありながらも、長く愛され続けている理由を探る約2時間。それこそロンとラッセルが2人並んで立っているだけで、チャップリン映画みたいな可笑しさがあり、しかもロンは本気と演技の境目が判別できない。まったくもって面白いスパークス兄弟なのである。