
マッキー・フェアリーのプロデュースによるシティ・ポップ人気盤『MILLION STARS』でデビューした桑名晴子の、“ベイカーズ・ショップ with ハルコ” 名義による3rdソロ『HOT LINE』の紙ジャケ・リイシュー。自分監修で初CD化し、晴子さんご本人にもメール取材させていただいた思い出深い1枚だが、あれからもう10年が経ってしまったのネ。光陰矢の如し。オリジナル・リリースは1980年、ベイカーズ・ショップと組むのは前作『SHOW ME YOUR SMILE』に続いて2作目というコトで、チームワークの良さ、一体感は前作以上。だからこうした名義にしたのだろう。その意図や狙いはよ〜く分かる。でもコア・ファン以外にはアピールしづらかったのコトも間違いなく、何故に“桑名晴子 with ベイカーズ・ショップ” じゃなかったのかな…?などと。もしそうなら、アーティスト・サイドの希望に任せちゃうあたり、何とも大らかな時代だね〜

でもサウンド的には、当時全盛を誇ったAORを意識したものに。“浪速のスタッフ”とも称されたベイカーズ・ショップだから、もっとソウルフルだったりブルージーだったりしても不思議じゃないが、意外なほどに西海岸風の都会的ポップ・ロック・アルバムに仕上げられている。爽やかなコーラスで幕を開ける<I’ll Be There>、キーボードのリフが印象的な<Game>、前作でデュエットしていたギターの船岡辰哉がリード・ヴォーカルを取る<Somewhere In The Night(夜の何処に)>、メロウなアコースティック・チューン<After The Storm>などがその好例。とりわけ、もろにボズ・スキャッグス<JoJo>を引用した<Don’t Look Back>は、本作の白眉。ご本人は、基本的に16ビートのR&Bや軽いサザン・ロックが好きで、当時はルーファス&チャカ・カーンを意識していたらしいが、サウンド・メイクはバンドに任せていて、バンド・スタイルにアレンジされていたと言う。
楽曲的には、“大阪のジャクソン・ブラウン” などと評判を取っていた、横浜生まれ・大阪育ちのシンガー・ソングライター/ギタリスト:増田俊郎が、作詞面で手助け。その一方で、<Cheap Perfume>や<Go Away>みたいな直球ロックン・ロール・チューンが同居しているのが、如何にも時代。その歌い回しは、やはり亡くなった兄:桑名正博の熱唱ぶりを髣髴させる。
ただ、高音質や紙ジャケはともかく、無駄にWジャケにしたり、アルバム未収のシングルがあるのにボーナス収録しなかったり、あるいは毎月1枚づつのバラ売りでゲットするのが面倒だったり…。裏事情はあるにせよ、他にもっとベターなやり方があるのではないか?という復刻プロジェクトではあるけれど、このシティ・ポップ・ブームの折、晴子さんの再評価に繋がるなら、それが一番。どうも『MILLION STARS』ばかりがクローズアップされがちだけど、作品的にはむしろ前作『SHOW ME YOUR SMILE』の方が上じゃないかと思うし、この『HOT LINE』も決して負けないと思うけどな。
『MILLION STARS』紹介記事
『SHOW ME YOUR SMILE』紹介記事
楽曲的には、“大阪のジャクソン・ブラウン” などと評判を取っていた、横浜生まれ・大阪育ちのシンガー・ソングライター/ギタリスト:増田俊郎が、作詞面で手助け。その一方で、<Cheap Perfume>や<Go Away>みたいな直球ロックン・ロール・チューンが同居しているのが、如何にも時代。その歌い回しは、やはり亡くなった兄:桑名正博の熱唱ぶりを髣髴させる。
ただ、高音質や紙ジャケはともかく、無駄にWジャケにしたり、アルバム未収のシングルがあるのにボーナス収録しなかったり、あるいは毎月1枚づつのバラ売りでゲットするのが面倒だったり…。裏事情はあるにせよ、他にもっとベターなやり方があるのではないか?という復刻プロジェクトではあるけれど、このシティ・ポップ・ブームの折、晴子さんの再評価に繋がるなら、それが一番。どうも『MILLION STARS』ばかりがクローズアップされがちだけど、作品的にはむしろ前作『SHOW ME YOUR SMILE』の方が上じゃないかと思うし、この『HOT LINE』も決して負けないと思うけどな。
『MILLION STARS』紹介記事
『SHOW ME YOUR SMILE』紹介記事