
エイジアの1983年12月の来日公演ライヴ@日本武道館、『LIVE AT THE BUDOKAN TOKYO 1983 』=『ASIA IN ASIA』のボックス・セット(Blu-ray+ 2CD)をゲット。この時の武道館公演2デイズのうち、2日目の12月7日のライヴがMTVの生中継で全米にオンエア。それゆえ『ASIS IN ASIA』のタイトルが生まれたワケだが、その模様は後にレーザー・ディスク化され、ヴィデオでも市販された。ライヴ・アルバムにはならなかったが、映像・音源ともにブートでは定番化。少し前にもハーフ・オフィシャルのCDが出回っていたので、この時の武道館に足を運んだ者として、思わず買いそうになった。が、グッとこらえて大正解。今回はエイジア・ヘリテッジというオフィシャル・チームの企画で、スティーヴ・ハウ監修、アートワークはお馴染みロジャー・ディーンによる書き下ろしになっている。日本で制作されたボックスには、当時のパンフレットとチケットのレプリカも付属。自分には不要だけど(パンフは本物あるし…
)、まぁ 至れり尽くせり。この『ASIA IN ASIA』がスペシャルなのは、日本初の全米生中継があったことだけではない。グループ結成の発起人ジョン・ウェットンが脱退し、後任にグレッグ・レイクが参加するという、エイジア史上でもっとも短くレアな編成だったからだ。彼らの初来日が発表された時は、まだジョン・ウェットンの脱退前。自分もUKの来日公演で大興奮したクチだったので、最大の目的なエイジアでのウェットンを観ることだった。ところがその後脱退が伝えられ、代わりにグレッグ・レイク参加の報。キャリア的にはウェットン以上の逸材だし、ELP来日は観てなかったので、代役というには豪華すぎる穴埋めだったが、やっぱりエイジアにはウェットンの声じゃないとなぁ…、なんて複雑な気持ちを抱いた。
でも当日のライヴはなかなか良くて、やっぱりレイクは美声だ〜と思ったが、それ以上にTV中継を意識したパッケージ・ショウの感覚が強く、キッチリ時間内に収めました、という計算がハナについた記憶がある。そしてその後すぐにレイクがバンドを離れ、ウェットン復帰。なんだそりゃ!と思っていたら、間もなくスティーヴ・ハウが抜けて…と、その段になって徐々にエイジアを取り巻く内情が見えてきた。
ポップな楽曲を重厚なプログレ・テイストに仕上げたデビュー盤が大成功した後、ポップ寄りのウェットンとプログレ志向のハウに確執発生。2作目『ALPHA』は、ウェットンとジェフ・ダウンズのポップ・チューンばかりで構成されたが、1枚目のセールスを超えるコト叶わず。そこでアルコール問題を抱えていたウェットンが馘首される。でも彼は曲作りで貢献していたため、ニュー・アルバム制作にあたってゲフィン・レコードなど外部圧力が掛かり、ウェットンが復帰へ。代わりにハウが「やってらんね〜」と背を向けたらしい。その間の日本公演だったワケである。巨額が動いたと思しき生中継契約がキャンセルできず、慌てて代役を探したのだろうが、レイクの参加はまさに打って付け、ウルトラCの荒技だった。
さて、実際に観たBlu-ray。公演内容そのものは、TVなどで何度か観たことがあるが、今回、MTVのVJ:マーク・グッドマンのイントロMCを観た瞬間に思ったのは、「ウソ、レストアされてないじゃ〜ん…
」というもの。“映像はレストア、オーディオはマルチ音源からのリミックス”という説明はウソっぱちか、と。でもパフォーマンス自体に集中していくと、多少の粗さは気にならなくなるレヴェル。そのまま連続して収録されたレーザー・ディスク画像と比べると、確かにレストアされてはいるようで、多少は見やすく修正されている。どうもピンク・フロイドみたいに、威信とコストを掛けた大掛かりなレストア復刻を見慣れてしまっているため、画質改善に過剰な期待を寄せてしまったようだ。なので往年のエイジア・ファンなら、それなりに満足いただけるのでは?
通常のライヴ・ステージであれば、アドリブとかソロ・パフォーマンスももっとタップリ演っていたのだろう。それを想像したら、中継用にコンパクトにまとめた印象は拭えない。それでも、今まで評判が良くなかったレイクの代役ぶりは、もう考え直すべきではないかと。当時メンバーは公演1ヶ月近く前に日本へ前乗りし、ヤマハが持っていた合歓の郷のスタジオで合宿リハーサルを積んたという。曲やベースだけでなく、歌詞まで覚えなければならないレイクには相当のプレッシャーだったと思うが、この映像を見直した限り、彼はキッチリ自分の仕事をこなしていた。果たしてパーマネント・メンバーになるつもりがあったのか、日本公演のみの契約参加だったかは知る由もないが、90年代のELP再結成時とは違って、ハリのある美声を保っている。“一夜漬けの手抜き” という酷評も出ていたが、それは当てはまらないのが分かるはず。逆にステージ後方のヒナ壇に多くの鍵盤を横一線に並べたダウンズは、右に左に走り回っていて、ヴィジュアル重視のセットに苦労している感があった。ハウやカール・パーマーはお馴染みの通り。アリーナ席を大写しにするシーンも結構出てきて、あぁ、自分はスタンド席だったかな、なんて遠い目になってしまふ…
2CDの方はまだ一部しか聴けていないが、disc1は映像と同じ7日の音源。disc2はその前日の6日公演で、こちらは今までブートレグでしか聴けなかったそう。それが少し前に両公演のマルチ音源が発見され、最高音質でのリミックスに成功したとか。更に映像には未収だった中継終了後のアンコール曲、<Cutting It Fine(流れのままに)>と<Daylight>も、共に収録されている。ハコのジャケに6日とあるのは、US時間表記だから。CDを見るとどちらも6日表記で、注釈的に日本時間・ US時間の記載がある。
90年代に入ってダウンズとジョン・ペイン中心の活動を始めた新生エイジアは、自分的には興味が湧かず、スルーした。その後06年に、結成時4人のフォーマットによるオリジナル・エイジアが復活し、07年に来日。その時ようやくウェットン入りのエイジアを堪能した。各メンバーのソロ曲を取り入れたステージ構成は、ちょっとロートル感が漂ったが、メンバーは元気で、その時のライヴ盤『FANTASIA』、25年ぶりのオリジナル・メンバーによる新録作『PHOENIX』(08年)、そして『OMEGA』(10年)、30周年『XXX』(12年)と出したところで、ハウが併行して参加していたイエスに専念。そして16年にレイク、17年にはウェットンが相次いで鬼籍に。ご存知のように、現在ハウとダウンズはイエスで活動していて、もう往年のエイジアは観られない。
往年のプログ・ファンには賛否が分れるけれど、それは70年前半のプログレに思いが強い人の捉え方だろう。その英国勢らしい重厚感を持って、その後のポップ・ロック界で成功した新しいバンドは、エイジアが唯一の存在だった。
でも当日のライヴはなかなか良くて、やっぱりレイクは美声だ〜と思ったが、それ以上にTV中継を意識したパッケージ・ショウの感覚が強く、キッチリ時間内に収めました、という計算がハナについた記憶がある。そしてその後すぐにレイクがバンドを離れ、ウェットン復帰。なんだそりゃ!と思っていたら、間もなくスティーヴ・ハウが抜けて…と、その段になって徐々にエイジアを取り巻く内情が見えてきた。
ポップな楽曲を重厚なプログレ・テイストに仕上げたデビュー盤が大成功した後、ポップ寄りのウェットンとプログレ志向のハウに確執発生。2作目『ALPHA』は、ウェットンとジェフ・ダウンズのポップ・チューンばかりで構成されたが、1枚目のセールスを超えるコト叶わず。そこでアルコール問題を抱えていたウェットンが馘首される。でも彼は曲作りで貢献していたため、ニュー・アルバム制作にあたってゲフィン・レコードなど外部圧力が掛かり、ウェットンが復帰へ。代わりにハウが「やってらんね〜」と背を向けたらしい。その間の日本公演だったワケである。巨額が動いたと思しき生中継契約がキャンセルできず、慌てて代役を探したのだろうが、レイクの参加はまさに打って付け、ウルトラCの荒技だった。
さて、実際に観たBlu-ray。公演内容そのものは、TVなどで何度か観たことがあるが、今回、MTVのVJ:マーク・グッドマンのイントロMCを観た瞬間に思ったのは、「ウソ、レストアされてないじゃ〜ん…
」というもの。“映像はレストア、オーディオはマルチ音源からのリミックス”という説明はウソっぱちか、と。でもパフォーマンス自体に集中していくと、多少の粗さは気にならなくなるレヴェル。そのまま連続して収録されたレーザー・ディスク画像と比べると、確かにレストアされてはいるようで、多少は見やすく修正されている。どうもピンク・フロイドみたいに、威信とコストを掛けた大掛かりなレストア復刻を見慣れてしまっているため、画質改善に過剰な期待を寄せてしまったようだ。なので往年のエイジア・ファンなら、それなりに満足いただけるのでは?通常のライヴ・ステージであれば、アドリブとかソロ・パフォーマンスももっとタップリ演っていたのだろう。それを想像したら、中継用にコンパクトにまとめた印象は拭えない。それでも、今まで評判が良くなかったレイクの代役ぶりは、もう考え直すべきではないかと。当時メンバーは公演1ヶ月近く前に日本へ前乗りし、ヤマハが持っていた合歓の郷のスタジオで合宿リハーサルを積んたという。曲やベースだけでなく、歌詞まで覚えなければならないレイクには相当のプレッシャーだったと思うが、この映像を見直した限り、彼はキッチリ自分の仕事をこなしていた。果たしてパーマネント・メンバーになるつもりがあったのか、日本公演のみの契約参加だったかは知る由もないが、90年代のELP再結成時とは違って、ハリのある美声を保っている。“一夜漬けの手抜き” という酷評も出ていたが、それは当てはまらないのが分かるはず。逆にステージ後方のヒナ壇に多くの鍵盤を横一線に並べたダウンズは、右に左に走り回っていて、ヴィジュアル重視のセットに苦労している感があった。ハウやカール・パーマーはお馴染みの通り。アリーナ席を大写しにするシーンも結構出てきて、あぁ、自分はスタンド席だったかな、なんて遠い目になってしまふ…
2CDの方はまだ一部しか聴けていないが、disc1は映像と同じ7日の音源。disc2はその前日の6日公演で、こちらは今までブートレグでしか聴けなかったそう。それが少し前に両公演のマルチ音源が発見され、最高音質でのリミックスに成功したとか。更に映像には未収だった中継終了後のアンコール曲、<Cutting It Fine(流れのままに)>と<Daylight>も、共に収録されている。ハコのジャケに6日とあるのは、US時間表記だから。CDを見るとどちらも6日表記で、注釈的に日本時間・ US時間の記載がある。
90年代に入ってダウンズとジョン・ペイン中心の活動を始めた新生エイジアは、自分的には興味が湧かず、スルーした。その後06年に、結成時4人のフォーマットによるオリジナル・エイジアが復活し、07年に来日。その時ようやくウェットン入りのエイジアを堪能した。各メンバーのソロ曲を取り入れたステージ構成は、ちょっとロートル感が漂ったが、メンバーは元気で、その時のライヴ盤『FANTASIA』、25年ぶりのオリジナル・メンバーによる新録作『PHOENIX』(08年)、そして『OMEGA』(10年)、30周年『XXX』(12年)と出したところで、ハウが併行して参加していたイエスに専念。そして16年にレイク、17年にはウェットンが相次いで鬼籍に。ご存知のように、現在ハウとダウンズはイエスで活動していて、もう往年のエイジアは観られない。
往年のプログ・ファンには賛否が分れるけれど、それは70年前半のプログレに思いが強い人の捉え方だろう。その英国勢らしい重厚感を持って、その後のポップ・ロック界で成功した新しいバンドは、エイジアが唯一の存在だった。



































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