porcupine tree

連日のブラック系ご紹介から、一気に重厚なネオ・プログレへ。最近はミュージシャン/シンガーというより、もっぱら英国系大御所バンドの再発リミックス・エンジニアとして名前を見ることが多かったスティーヴン・ウィルソン率いるポーキュパイン・ツリー、13年ぶりのニュー・アルバム『CLOSURE / CONTINUATION』が素晴らしい。

09年作『THE INCIDENT』のリリースとツアーを最後に活動休止に陥ったポーキュパイン・ツリーが再び動き出したのは、2021年秋のことだ。中核スティーヴンが同年初頭に6枚目のソロ・アルバムを出したが、その裏ではグループの活動再開が着々と進んでいたらしい。

ただし戻ってきたのは、元ジャパンのリチャード・バルビエリ(kyd)、キング・クリムゾンやパイナップル・シーフでの活動を併行させているギャヴィン・ハリソン(ds)の2人だけ。でも新作を聴く限り、そんな片肺飛行での再離陸とは思えず、自分の知る限り、ポーキュパイン・ツリーの最高傑作としてイイのでは?、と思う。ノッケから激しいスラップ・ベースにおののくし、ドラムも超絶。クリムゾンでのトリプル・ドラム経験は、ギャヴィンを一層成長させたようだ。ギターには、スティーヴンのソロ作に参加したことがあったポール・ステイシー(元レモン・トゥリーズ〜ブラック・クロウズ、オアシスのサポートなど)がゲスト参加。

プログレというと、まるで時代遅れのようにも感じられるけど、このアルバムを聴けば充分に現在進行形で、今の音楽シーンにも有効なコトが分かる。大御所たちの多くが、過去の自身の栄光をなぞらえるような、プログレッシヴとは名ばかりの活動に陥りつつある今、ポーキュパイン・ツリーの存在はより大きなモノになる。この新作とツアー(サポートのグターとベースが付く)が有終の美、なんて噂もあるが、“そして3人が残った” でイイから活動を継続させてほしいモノだ。