アラン・パーソンズ・プロジェクトと混同されるが、アラン・パーソンズのソロ名義では『THE SECRET』(当時のポストはココから)以来、3年ぶり6作目となる『FROM THE NEW WORLD(新世界より)』がリリースされた。『THE SECRET』は、引退示唆などを挟んでの十数年ぶりのカムバック作品で、復活したら いきなり大規模ツアーとシンフォニー共演、そしてそれぞれのライヴ映像作を出すというアクティヴさ。そうこうするうちにこのニュー・アルバムなので、70歳代になって最後の荒ら稼ぎかいッなんて思ったりするが、まずはアラン、元気そうで何より。
この『FROM THE NEW WORLD』は、そのタイトルからも察せられるように、チェコのクラシック作曲家ドヴォルザークの交響曲に由来する作品。晩年のドヴォルザークが1893年に作曲した『交響曲第9番 ホ短調 作品95番『英題:From the New World/チェコ原題:Z noveho světa/邦題:新世界より)をモチーフにしている。収録曲はアランと参加メンバーたちの共作がほとんどだが、<Goin' Home(家路)>は、『新世界から』の4つの楽章のうちの第2楽章LARGOのメイン・テーマとして有名。ドヴォルザーク死後に歌詞がつけられ、世界中で歌われてきたもののカヴァーだ。日本では愛唱歌<遠き山に日は落ちて>として知られている。
その背景から分かるように、このアルバムは、前作『THE SECRET』で顕著になったシンフォニック・ロック指向を更に推し進めたモノ、と言って良いだろう。楽曲によって往年のピンク・フロイド、ジェネシスあたりを思い出させたりするのも前作同様だが、今回はかなりストレートにフロイドへ擦り寄った感アリ。スターター<Fare Thee Well>なんて、CD間違えたか!?、と思ったほど(←ちょい大袈裟)。でも随所に出てくるフロイド節は、ただ雰囲気が似ているというレヴェルは超越して、具体的なネタ元まで想像できる。
それが何か関係したか、あるいは実際にシンフォニー・オーケストラとライヴ共演した反動なのか、小さい頃から聴いていたドヴォルザークからの影響をカタチにした作なのに、アレンジ自体は意外にシンプル。アラン・パーソンズ・プロジェクト期の特徴は、耳馴染みの良いメロディと先進的シンセ・サウンド、重厚なオーケストレイションの組み合わせだったはず。相方エリック・ウルフソンと離れて(09年没)ソロ・プロジェクトになって以降も、クオリティの維持はともかく、作品のベクトルに大きな変化はなかった。それが今回は、いつになくバンド・サウンド中心の印象。シンセはもちろん、オーケストラも起用されているが、かつてのようにシンボリックな存在ではないようだ。シンセも、うっすらとパッド系のがバックグラウンドに流れているだけ。シーケンスでアンサンブルのスピード感を牽引していくような楽曲は聴けない。テンポ感のヴァリエーションが狭いのも、フロイドに共通するところ。そのぶんギター・サウンドやコーラスの積みに厚みが出た。
多彩なゲストを迎えた『THE SECRET』に比べると、よく知る人の参加も少ない。ブルース・ギタリストのジョン・ボナマッサが2曲ほどソロを弾いているのと、<Uroboros>は意外にもトミー・ショウのリード・ヴォーカル。特にトミーのヴォーカルは、前作参加のルー・グラムを髣髴させるもので、最初にクレジットを確認せずに聴いた時は、今回もルーが参加していると勘違いした。<I Won't Be Led Astray>はアランとは縁深いデヴィッド・パック(ex-アンブロージア)がリード・ヴォーカル。AOR好きは身を乗り出したくなるが、相変わらずの萌え声が聴けた以上の収穫はないかな。随所でギルモア張りのギターを聴かせるジェフ・コールマンは、ソロ活動の傍ら、グレン・ヒューズやエイジア周辺で活動しているが、すっかりアラン・パーソンズ人脈に同化してツアーにも帯同する。そうした若手〜中堅のツアー・メンバーが、そのままこのアルバムのスタジオ・セッションの中核を成す。
意外といえば、アルバム最後に入っている<Be My Lady>。言うまでもなくロネッツのカヴァーで、昨年逝去した大物プロデューサー:フィル・スペクターへの弔意を込めたものらしい。かつて<Don't Answer Me>でスペクター・サウンドに挑戦したアランだけど、ドヴォルザークの<Goin' Home>で余韻たっぷり(ヴォーカルもアラン本人)に終わった後にコレかよ? ヴォーカルのタビサ・フェアは、スティングやU2、ベット・ミドラー、マイケル・マクドナルドなどとも共演的のある人だけれど、これはデジタル・シングルか、アルバムに入れるならボーナス扱いで良かったな。
一枚のアルバムとしては、それなりによく出来ている。ただ、アラン・パーソンズ作品としてはどうか? やっぱりエリック・ウルフソン不在の穴は、決して小さくないみたい。<Don't Fade Now>や<Obstacles>あたりのシットリ系ナンバーは良いデキだし、<You Are The Light>の哀愁ポップなども思わず胸キュン。言うまでもなく従来ファンは納得できるだろう。でもこれからアランを聴く人には、やっぱりプロジェクト時代の作品をオススメ。…って前回も同じようなコト書いてますネ
ちなみに国内盤はボーナス・トラック付きの紙ジャケット仕様。輸入盤は普通のシングルCD、CD+DVDの2枚組、これにアナログとライヴDVDがついた4枚組ボックスの3種類が出ている。
その背景から分かるように、このアルバムは、前作『THE SECRET』で顕著になったシンフォニック・ロック指向を更に推し進めたモノ、と言って良いだろう。楽曲によって往年のピンク・フロイド、ジェネシスあたりを思い出させたりするのも前作同様だが、今回はかなりストレートにフロイドへ擦り寄った感アリ。スターター<Fare Thee Well>なんて、CD間違えたか!?、と思ったほど(←ちょい大袈裟)。でも随所に出てくるフロイド節は、ただ雰囲気が似ているというレヴェルは超越して、具体的なネタ元まで想像できる。
それが何か関係したか、あるいは実際にシンフォニー・オーケストラとライヴ共演した反動なのか、小さい頃から聴いていたドヴォルザークからの影響をカタチにした作なのに、アレンジ自体は意外にシンプル。アラン・パーソンズ・プロジェクト期の特徴は、耳馴染みの良いメロディと先進的シンセ・サウンド、重厚なオーケストレイションの組み合わせだったはず。相方エリック・ウルフソンと離れて(09年没)ソロ・プロジェクトになって以降も、クオリティの維持はともかく、作品のベクトルに大きな変化はなかった。それが今回は、いつになくバンド・サウンド中心の印象。シンセはもちろん、オーケストラも起用されているが、かつてのようにシンボリックな存在ではないようだ。シンセも、うっすらとパッド系のがバックグラウンドに流れているだけ。シーケンスでアンサンブルのスピード感を牽引していくような楽曲は聴けない。テンポ感のヴァリエーションが狭いのも、フロイドに共通するところ。そのぶんギター・サウンドやコーラスの積みに厚みが出た。
多彩なゲストを迎えた『THE SECRET』に比べると、よく知る人の参加も少ない。ブルース・ギタリストのジョン・ボナマッサが2曲ほどソロを弾いているのと、<Uroboros>は意外にもトミー・ショウのリード・ヴォーカル。特にトミーのヴォーカルは、前作参加のルー・グラムを髣髴させるもので、最初にクレジットを確認せずに聴いた時は、今回もルーが参加していると勘違いした。<I Won't Be Led Astray>はアランとは縁深いデヴィッド・パック(ex-アンブロージア)がリード・ヴォーカル。AOR好きは身を乗り出したくなるが、相変わらずの萌え声が聴けた以上の収穫はないかな。随所でギルモア張りのギターを聴かせるジェフ・コールマンは、ソロ活動の傍ら、グレン・ヒューズやエイジア周辺で活動しているが、すっかりアラン・パーソンズ人脈に同化してツアーにも帯同する。そうした若手〜中堅のツアー・メンバーが、そのままこのアルバムのスタジオ・セッションの中核を成す。
意外といえば、アルバム最後に入っている<Be My Lady>。言うまでもなくロネッツのカヴァーで、昨年逝去した大物プロデューサー:フィル・スペクターへの弔意を込めたものらしい。かつて<Don't Answer Me>でスペクター・サウンドに挑戦したアランだけど、ドヴォルザークの<Goin' Home>で余韻たっぷり(ヴォーカルもアラン本人)に終わった後にコレかよ? ヴォーカルのタビサ・フェアは、スティングやU2、ベット・ミドラー、マイケル・マクドナルドなどとも共演的のある人だけれど、これはデジタル・シングルか、アルバムに入れるならボーナス扱いで良かったな。
一枚のアルバムとしては、それなりによく出来ている。ただ、アラン・パーソンズ作品としてはどうか? やっぱりエリック・ウルフソン不在の穴は、決して小さくないみたい。<Don't Fade Now>や<Obstacles>あたりのシットリ系ナンバーは良いデキだし、<You Are The Light>の哀愁ポップなども思わず胸キュン。言うまでもなく従来ファンは納得できるだろう。でもこれからアランを聴く人には、やっぱりプロジェクト時代の作品をオススメ。…って前回も同じようなコト書いてますネ
ちなみに国内盤はボーナス・トラック付きの紙ジャケット仕様。輸入盤は普通のシングルCD、CD+DVDの2枚組、これにアナログとライヴDVDがついた4枚組ボックスの3種類が出ている。
「eye in the sky」のサラウンド盤を
聴き直して気持ちをあげています。
ただクラシックの名曲がベースというのが
気がかり。多くのプログレグループが
クラシックの名曲を取り込んだ作品を
出しているけど、成功例はホンの一部。
ガッカリくることの方が多いですからねぇ…