masuo_good morning

日本を代表するジャズ・フュージョンの名門レーベル:エレクトリック・バードのカタログが、待望のデジタル解禁。それを記念して、カナザワと流線形)クニモンド滝口氏のスペシャル対談が、REAL SOUND と King Record Today で展開されている。

日本のミュージシャンを世界に知らしめた<エレクトリック・バード> 金澤寿和とクニモンド瀧口が語り合う、稀有なレーベルの魅力(Real Sound)
金澤寿和×クニモンド瀧口が<エレクトリック・バード>の魅力を語る 「日本のジャズフュージョンレーベルのトップランナーだった」(King Record Today )

対談の中では、いろいろオススメの作品や注目すべきアルバムについて触れているけれど、2人が口を揃えてフェイヴァリットに挙げたのが、増尾好秋のエレクトリック・バード3作目(ソロ通算6作目)に当たる79年作『GOOD MORNING』。ギター・フュージョンとしてもポップ・インストとしても極めて完成度の高い1枚で、リリースから40年以上が経過しても、未だに年に何度か無性に聴きたくなる時がある。時に初夏とか雨上がりの日の朝とか、スパイロ・ジャイラかマスオかというくらいの名盤だ。

大学在学中に渡辺貞夫に認められ、1968年にナベサダ・グループで初レコーディング。69年には初リーダー作『バルセロナの風』発表した増尾好秋。が、71年に渡米し、エルヴィン・ジョーンズのバンドに加入。その後はリー・コニッツとの共演を経て、73年からソニー・ロリンズと行動を共にした。77年、キング・レコード傘下の新レーベル:エレクトリック・バードの第1弾アーティストとして専属契約。正味3年の在籍で6枚のアルバムを発表した。中にはヤン・ハマーと渡り合ったライヴ盤などもある。現在もニューヨーク在住。

その中でも、彼の歌心溢れるギター・ワークと優しきメロディ・センスが凝縮されたのが、この『GOOD MORNING』だ。実際には弟でサウスポーのギタリスト:増尾元章の貢献も大きく、ギター合戦を演じたり、美麗な楽曲を提供したり…。“モンスター・ベース”と異名を取ったT.M.スティーヴンスは、ナラダ・マイケル・ウォルデンのバンドでも活躍し、この後は P-ファンク・シーンに身を投じて知名度を上げていった。増尾の妻でパーカッションのシャリー増尾は、昨今のシティ・ポップ再評価で認知されるようになったジュディ・アントンの姉妹。

今のジャンルでいえば、いわゆるスムーズ・ジャズだけれど、ただ爽やかで聴き心地が良いだけでなく、ジャズ・フュージョンとしての創造力に満ちていて、しかも個性的。その歌うような旋律は、何処か高中正義を髣髴させるほど。まさに日本のジャズ・フュージョン界屈指の名盤だ。もしエレクトリック・バードに馴染みがないなら、まずはココから。